研究課題/領域番号 |
26287104
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
安藤 雅孝 静岡大学, 防災総合センター, 客員教授 (80027292)
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研究分担者 |
宗林 留美 (福田留美) 静岡大学, 理学部, 准教授 (00343195)
中村 衛 琉球大学, 理学部, 教授 (60295293)
生田 領野 静岡大学, 理学部, 准教授 (60377984)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 津波 / 海底地殻変動 / キネマテックGPS / 琉球海溝 / 音響測距 / プレートカップリング / XCTD / 先島諸島 |
研究実績の概要 |
琉球海溝西域の沈み込み速度は、12.5cm/yに達し、世界最大の速度を示す。本研究の目的は、当該地域での海底地殻変動観測により、海陸両プレートの固着状態を明らかにし、巨大地震発生の可能性について議論する。この目的のために、波照間島の南に海底ベンチ-マークを設置し、3 年間にわたる観測に基づき波照間とベンチマーク間の距離の変化を求める。 本年度の目標は、前年度(26年度)に、沖縄県波照間沖に設置した海底地殻変動装置(海底ベンチマーク)3台を用いて、海底の位置の変化を求める。GPSの参照点は、石垣市立平真小学校の屋上に置き、この位置に対して調査船の位置を求める。なお、本観測の前に、KGPSの安定解析を得る為に2つの予備実験を静岡大学校舎屋上にて実施した。 観測: 2015年6月28から30日まで、海域での観測46時間を予定したが、29日夜半より海況が悪化し、30日早朝に終了した。海域での音響測距観測では、船のスクリューノイズを避けるため、船をドリフトさせながらを観測を実施した。なお、本年度は6月の2週目にも、観測を実施する予定で、石垣島に待機したが、海況が好転せず中止した。また、本年度は、秋に再度海底観測を予定したが、観測機器の不具合のため実施できなかった。 解析結果:本研究では、陸上参照点に対し海底の変動を求めるもので、海底装置の位置の変化をもって、海底の地殻変動とする。船の位置はキネマテックGPSの手法で決定し、次にジャイロを用いて、船上GPSアンテナの位置に対する、音響トランスデューサの位置を決定する。位置が決まったトランスデューサから音響信号を海底地殻装置に発信し、往復走時から海底装置の位置を決める。昨年度、船上のGPSデータに不具合があったとされたが、解析上の誤りであることが判明し、26年度と合わせて解析を実施し、海底ベンチマークの位置の変化が明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
26年度には、GPS観測に不具合が起きた可能性があると判断したが、実際には解析上の問題であったことが判明した。このため、26年度の解析上の問題は解明することができた。27年度は、6月の観測に引き続き、10月にも観測を予定したが、機器の不具合が生じ実施できなかった。このため、観測は次年度に実施することとした。現在のところ、観測精度は十分に高いと言えず、本年度の観測をもって、基点間の変化に関する議論はできない。また、6月前半に観測を予定していたが、海況が好転せず中止となった。その後用船には予定が詰まっていたため、6月後半に再度実施することとなった。観測は順調に進んだものの、途中から海況が悪化し、小船での観測は困難と判断し、港に戻った。地元の気象や海況に詳しい用船の船長でも、3日先の予測は難しいとのこととのことだった。観測域が離島の沖合で、天候や海況に左右され、かつ海底に最適な期間が観光シーズンと重なるため、予定を立てるのが難しいのが困難な点である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も、これまで得られた知見を基に、海洋観測を実施する予定で、計画を進める。海洋観測終了後に直ちに解析を実施し、最初の位置決めが行われる。また、KGPSの精度向上のため、今後とも静岡大学理学部棟の屋上で、GPSアンテナを半径1mの円を描いて移動実験を24時間連続的に行う予定である。これにより、決定精度が、日変化、季節変化、大気や電離層状態が与える影響を明らかにし、今後の観測および解析の向上のための基礎データとする。なお、この実験にあたり、参照GPSアンテナとして、移動GPSアンテナから100km離れた浜松、および10m離れた理学部棟屋上にそれぞれ1台ずつ置く。
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