研究課題
直径がμm~mサイズのメテオロイドは,彗星や小惑星を起源とすると考えられているが,小惑星を起源とするメテオロイドや隕石については,両者を繋ぐ知見に乏しい。秒速数10kmの超高速で地球大気に突入する際の流星発光の分光観測により,メテオロイドと地球大気起源の原子・分子とこれらの発光強度の時間変化,励起温度,組成比などの物理状態が推定される。本研究では,流星・火球の大気中でのアブレーション過程を分光学的に理解する目的でJAXA宇宙科学研究所の共同利用施設「惑星大気突入環境模擬装置」と隕石やそれらを模擬した供試体を用いた人工流星実験を通して,流星アブレーション中の質量減少率と発光効率を導出することに成功した。また,超高感度・超高解像度4Kカメラと分光器,制御PCを組み合わせた「全天候・流星分光システム(波長380-900nm領域)」を開発し,火球の高品質の分光スペクトルを取得することに成功した。そして,アブレーション実験の結果と比較することで,低速流星や火球スペクトルの理解を深めて来た。一方,大出力大型レーダーと超高感度カメラを用いて,RCS(レーダー散乱断面積)と発光等級の関係を導き,約13等級(推定直径数10μm)の微光流星メテオロイドの惑星間空間軌道を約20万個を得るに至っている。一方,隕石火球となるmサイズの岩塊の起源としては,小惑星(枯渇彗星を含む)の太陽接近による加熱崩壊,YORP効果による自転加速による崩壊,惑星接近による潮汐破壊などが考えられるが,流星群母天体候補で分裂が示唆されている地球近傍小惑星「Icarus(分裂ペア; 2007 MK6)」と「Phaethon(分裂ペア; 2005 UD)」の自転に伴う分光観測を,「米国ローウェル天文台4.3m望遠鏡」と「和歌山かわべ天文台1.0m望遠鏡」を用いた分光観測を実施し,表層の不均質性を検出することができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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The 31st ISTS Special Issue of Transaction of JSASS, Aerospace Technology Japan.
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