研究課題/領域番号 |
26287107
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
大竹 真紀子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (30373442)
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研究分担者 |
諸田 智克 名古屋大学, 環境学研究科, 講師 (30415898)
本田 親寿 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (40435805)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 月探査 / かぐや / 月地質図 / 分光観測データ / クラス分類法 |
研究実績の概要 |
初年度(H26),H27年度までに月全球の低解像度反射率分光データをもとに解析的な教師無しクラス分類法により,岩石組成の異なる領域を分類した主題図の作成(数十クラスへの分類),改良とその評価(手動解析による地質分類結果との比較や,狭い範囲について過去に行われた解析的分類法による結果との比較)を行った.結果,手動解析と整合するクラス分類ができているほか,手動解析では認識されていなかった新しいクラスが識別されていることがわかった.H28年度には,分類された各クラスに対して地質的な解釈を詳細に行い,これまで手動解析による地質分類では見つかっていなかった特殊な地質領域の全球分布の把握に成功し,またその組成推定を行った.これは斜長石が多く分布する高地地域の中に苦鉄質ケイ酸塩鉱物が比較的多く含まれる領域であり,その分布や組成から,これらは表面に噴出するまでに至らなかった火成岩か,または古い溶岩噴出物の上に高地物質が堆積した領域であると推定される.また,月面上で最も新しい大型の衝突盆地であるオリエンターレ盆地において,盆地形成に伴って地下の地殻物質が隆起したリング上に純粋な斜長岩が連続的に分布する領域が識別され,同領域の詳細解析により,観測できる最も深い領域の月の原始地殻の組成推定が可能となった. これら成果についてはJapan Geoscience Union Meetingや米国ヒューストンで行われるLunar and Planetary Science Conference等で発表し,国内外の研究者との議論を行っている.これら成果について論文として準備を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた全球レベルでの解析手法によるクラス分類と,それをもとにした地質解釈をほぼ終えている.またこれら過程において従来手動解析による地質分類では見つかっていなかった特殊な地質領域(表面に噴出していない溶岩か,または古い溶岩の上に高地物質が堆積した領域)の全球分布の把握や月面上で最も新しい大型の衝突盆地であるオリエンターレのリング上に見られる地殻組成を従来よりも詳細に解析することにも成功し,成果を学会で発表している.
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今後の研究の推進方策 |
現在,本研究によって得られた成果を2本の論文として執筆中であり,学会等での研究者らとの議論などをもとに,該当論文の掲載を目指す.
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