研究課題/領域番号 |
26287111
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤吉 康志 北海道大学, 低温科学研究所, 特任教授 (40142749)
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研究分担者 |
工藤 玲 気象庁気象研究所, 気候研究部, 研究員 (00414508)
川島 正行 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (10281833)
林 政彦 福岡大学, 理学部, 教授 (50228590)
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
青木 一真 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (90345546)
山本 真之 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電波計測研究所, 研究員 (90346073)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大気境界層 / エアロゾル / 晴天乱流 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、晴天域の風とエアロゾルの測定に優れた3 次元走査型ドップラーライダーと2波長偏波ライダー,鉛直1次元ではあるが高時間・空間分解能で雲内の風速3成分・乱流構造の測定も可能な改良を加えたウィンドプロファイラー等の各種地上測器に加えて,自由な飛行が許可された滝川スカイパークの有人グライダーによるin situ測定を実施することによって,1)大気境界層内で発生する組織的乱流(サーマル,ダストデビル,低速ストリーク,ロール状対流,ケルビンヘルムホルツ波,重力波,海陸風などの局地前線等)の検出と内部構造の解明,2)それらが引き起こす大気場及び大気質の鉛直分布の変化,3)それに伴う短波・長波の吸収・散乱による直接効果の大気場へのフィードバック,雲の物理・光学的特性に及ぼす間接効果を定量的に評価することである。 昨年度に引き続き、今年度もグライダー観測を5回実施した。さらに、当初計画通り、上空の大気の乱流と風の3成分を測定できるウィンドプロファイラーとの同時観測も実施した。昨年度の観測結果と合わせて、大気境界層内の異なった発達段階(発達初期、成熟期、衰退期)毎にデータを分類すると共に、風速の違いによる大気境界層内に発生する組織化した乱流の違いによる、鉛直構造の違いも調べた。特筆すべき成果としては、大気境界層と自由対流圏での乱れの3成分に大きな違いが見られたこと、サーマル内部の物理量を相互に整合的に測定できたこと、測定したエアロゾルの数濃度から再計算したライダーの鉛直分布とよく一致した事例とそうでない事例があることを見出した。さらに、中国からの汚染物質が到達した時間にサンプルしたエアロゾルを電子顕微鏡分析にかけ、化学組成に明らかな違いを見出したことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
グライダーと地上リモートセンサーとの同時観測は極めて順調に行われている。また取得したデータ解析も順調に解析が進んでいる。さらに、各種測定装置も全て順調に稼働している。当初の計画以上に進展している点は、エアロゾル中に含まれるバクテリアやウィルスの採取と分析も可能となりつつある点である。これは、当初計画から派生したテーマであり、今後の発展・重要性が認められることから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
グライダーを含む航空機一般の安全性を高めることはもちろん、グライダーを用いた観測手法を世界的に広めるためにも、国外の研究者に本研究成果を宣伝すると共に、積極的に国外に出向いてデモンストレーションと講演を行う予定である。さらに、上記の進捗状況に示したように、本観測手法は、鳥インフルエンザや川崎病、口蹄病などの早期検出に有効となる可能性もあり、人獣感染症対策としての発展性を関連研究者と検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初本研究経費で支出予定であった、ウィンドプロファイラー等の輸送費と設置作業費が、幸い、別経費で支払いが可能となったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度あらたに進捗が見られたバイオエアロゾル関連のサンプリングのために、当初予定よりもグライダー観測の回数を増やす。
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