研究課題/領域番号 |
26287117
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
河谷 芳雄 独立行政法人海洋研究開発機構, 統合的気候変動予測研究分野, 主任研究員 (00392960)
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研究分担者 |
宮崎 和幸 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球表層物質循環研究分野, 主任研究員 (30435838)
藤原 正智 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (00360941)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 赤道準2年振動 / 中層大気 |
研究実績の概要 |
本研究は、観測、再解析、気候モデル及び全球雲解像モデルを組み合わせ、QBO・BD循環の変動とそのメカニズムを明らかすることを目的とする。今年度は以下の成果を得た。 気候変動に重要な役割を果たしている成層圏水蒸気の年々変動を、最新衛星観測と気候モデルを組み合わせて精査した。観測データから上部成層圏で時間と共に下方伝播する水蒸気偏差の存在を発見、上部対流圏から下部成層圏にかけて上方伝播する成分が卓越することを示した。次に気候モデル実験を行い、上記のメカニズムを解明し、下部成層圏に関してはQBO振幅と相関が高いことが分かった。成果は論文として発表した。 水平解像度120km、鉛直解像度500mに設定し、地表から高度約95kmまでを168層でカバーする気候モデルMIROCを構築した。コントロール実験において、非定常重力波パラメタリゼーションを組み込まずともQBOや半年振動(SSAO)を自発的に再現できた。 7種類の再解析データを用いてQBO振幅の再現性をラジオゾンデ観測データと比較した。東太平洋やインド洋など、ゾンデデータが疎な地域では再解析間の差が大きくなっているが、赤道近傍で良質な長期データが存在するシンガポール付近や西太平洋領域では差が小さいことが判明した。 6つの再解析データを用いて成層圏の平均子午面循環と混合強度を比較した。平均的な構造および長期的な変動について、旧世代と新世代の再解析データの間には顕著な違いが見られた。再解析データの作成時に利用された予報モデルおよびデータ同化手法の改良が違いを引き起こしていることを示唆する結果が得られた。研究成果の公表に向けて取り組んでいる段階にある。また、9種の再解析データの気温、東西風について、火山噴火、ENSO、QBO、太陽活動に伴う変動の解析と比較をおこない、2編の論文にまとめて投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した平成26年度の計画に沿って、気候モデル実験や再解析、及び各種観測データの整備や初期解析が行われており、順調に研究が進んでいる
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に沿って、本研究に必要な引き続き気候モデル実験や各種データ整備を行うとともに、研究成果を出していく。成果は積極的に発表し、論文化をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は気候モデル構築、基礎実験、各種観測データ整備等に重点を置き、次年度からの研究成果への基礎固めをした。計画的に使用したが、当初予定より研究成果発表のための経費が抑えられた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果発表及びデータ記録装置の購入に充てる。
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