研究課題/領域番号 |
26287125
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
上野 雄一郎 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (90422542)
|
研究分担者 |
玄田 英典 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任准教授 (90456260)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 地球史 / 惑星地質 |
研究実績の概要 |
以下の研究対象地域に露出する太古代海洋地殻について、水素同位体計測を行った:1. 南アフリカ、バーバートン緑色岩帯(約35億年前)、2. 西オーストラリア、クリーバビル地域(約32億年前)、3. 西オーストラリア、ビーズリーバー地域(約26億年前)。また、4. チリ、タイタオオフィオライト(約600万年前)についても同様の計測を行い、太古代岩石との比較を行った。各地域それぞれで、水素同位体比と変成度との対応関係を解析した結果、クリーバビル地域に産出する約32億年前の海洋地殻が最も海水情報を保持しており、本研究に理想的な地層であることが明らかになった。さらに海水同位体組成の見積もり確度を向上させるため、酸素同位体計測を進めている。計測にはテフロン粉末を用いたフッ化法により全岩酸素をO2として回収するために新たな分析モジュールを設置した。検討の結果水素、酸素の同時計測は期待したメリットが生かせないため、同一試料の水素同位体計測と酸素同位体計測を別個に実施するように計画を変更した。また、試料スクリーニングのプロトコルを評価するため、顕生代海洋地殻の水素・酸素同位体計測を新たに計画した。そのため、西南日本舞鶴帯に産するペルム紀緑色岩が研究対象として適切であるとの結論に達し、共同研究者から資料提供の内諾を得た。次年度からその分析を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水素同位体については年代の異なる4地域から計200試料以上のデータを取得しており、想定よりも多量のデータを出すことができた。これまでの分析結果から、異なる岩体では水素同位体組成の保存度が異なっていることが明らかとなり、そのためより確かな海水同位体組成を推定するためには、近過去の類似岩石を計測し、水素および酸素同位体組成を太古代岩体と比較することが重要であることが分かった。このため、当初予定に加えて、現在の海洋底玄武岩ガラスの計測を実施した。さらに、日本に露出する約300Maの海洋地殻について新たに研究および分析を開始した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで取得した太古代岩体のデータに加え、南インド・ダルワール地塊の27億年前海洋地殻についての計測を実施し、変動期と推測される時代のデータを増やす。また、これらの岩石試料について、現在開発中の酸素同位体計測を追加する。海水同位体組成の見積もり確度を向上させるために、顕生代試料の分析を行い、試料スクリーニング法を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
申請時の計画よりも基金分の配分が多かったために、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
申請時の計画よりも基金分の配分が多かったために、次年度使用額が生じたものであり、当初の予定通り使用する。
|