数値実験の結果,混濁流の発生条件には明瞭な閾値が存在することが明らかになった.極めて希薄であっても,十分な高さまで浮遊堆積物が分布すれば,自己加速化作用により大規模な混濁流が発生する.一方,条件がわずかに異なると,まったく流れは発達しなかった.このことは,2011年津波に匹敵する規模の津波でなければ,おそらく広範囲に混濁流を発生させることは難しいことを示している. 一方,タービダイト逆解析手法については,サンプルを流向方向に沿っておおむね1 km間隔で採取すれば十分に可能であることが示された.本手法により,今後,津波起源タービダイトから過去の混濁流ならびに津波の規模の推定が可能になるだろう.
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