| 研究課題/領域番号 |
26287129
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| 研究機関 | 北海道大学 |
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研究代表者 |
関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
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| 研究分担者 |
阿部 彩子 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30272537)
堀川 恵司 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (40467858)
小野寺 丈尚太郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 主任研究員 (50467859)
岡崎 裕典 九州大学, 高等研究院, 准教授 (80426288)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 古気候 / 古海洋 / 新第三紀後期 / 全球寒冷化 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は新たな古海洋記録と古気候モデルを統合することで後期中新世に引き起こされた地球寒冷化のメカニズムの実態を明らかにすることを目的とする。特にパナマ海峡の浅化が全球的な海洋循環の再編を促し、全球的な寒冷化を導いたとする作業仮説の検証を行う。初年度は海洋堆積物コアを用いた古水温の復元と予察的な古気候モデル実験を実施した。ODP堆積物試料は米国およびドイツのコアリポジトリにリクエストし入手した。北大西洋高緯度（ODP982）および、南大洋の大西洋（ODP704）と太平洋（ODP1123）セクターから採取されたODP堆積物コア中のアルケノン分析に基づく古水温推定と珪質鞭毛藻の群種組成の解析を行い、過去1000万年間の表層海水温の復元を行った。
古水温指標であるアルケノンはODP982とODP1123において十分量検出されたが、ODP704では濃度が低く、精度の高い古水温復元が期待できないことが明らかになった。そのため、ODP704は珪質鞭毛藻の群種解析により水温の変化を推定した。その結果、全てのサイトにおいて約700万年前に著しい寒冷化が認められ、後期中新世における寒冷化が全球規模の現象であることが本研究によって明らかとなった。またODP704の浮遊性有孔虫と底生有孔虫の拾い出しを行ったが、安定炭素同位体比、Mg/Ca比を分析するために必要な数の有孔虫を回収することができなかった。
パナマ海峡閉鎖の海洋循環や気候へのインパクトを検証するため、予察的なパナマ海峡の開閉実験を行った。しかし、パナマの閉鎖によって南半球は寒冷化するものの、期待される結果（北太平洋の寒冷化も起こる）は得られなかった。その原因として今回のモデル実験ではベーリング海峡が閉じていないなど、後期中新世の正確な境界条件を用いていないことが考えられた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度で予定通り３サイト（ODP704, 982, 1123）のアルケノン水温の分析とODP704の珪質鞭毛藻の群種組成解析を終了させることができた。有孔虫の拾い出し作業に関してはODP704は全て終了し、ODP1123の拾い出し作業に移行した。またモデルによるパナマ海峡の開閉実験を開始し予察的な結果を得た。このように概ね順調に進展している。
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| 今後の研究の推進方策 |
予定していたアルケノン水温と珪質鞭毛藻の分析が終了したので、今後は有孔虫の安定炭素同位体比とMg/Caの分析および歯の魚のネオジウム同位体比の測定を行い、深層水の水温と水塊の起源の変遷を復元する予定である。また追加サンプルとして、北西太平洋のDSDP296のアルケノン分析を実施し、北西太平洋の水温変動や大気二酸化炭素濃度の復元を行う。パナマ海峡の感度実験ではベーリング海峡が閉じている条件で行い、より正確な境界条件下でパナマ海峡閉鎖が海洋循環に与えるインパクトを検証する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
堆積物試料処理の研究補助者の雇用開始が１０月にずれ込んだため。
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| 次年度使用額の使用計画 |
堆積物試料処理の研究補助者雇用および実験で使用する消耗品の購入に充てる。
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