研究課題/領域番号 |
26287134
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森下 知晃 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (80334746)
|
研究分担者 |
鈴木 勝彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 海底資源研究開発センター, グループリーダー/上席研究員 (70251329)
仙田 量子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環分野, 技術研究員 (50377991)
濱田 盛久 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環分野, 研究員 (60456853)
針金 由美子 独立行政法人産業技術総合研究所, 地球情報研究部門, 主任研究員 (90569360)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 中央海嶺 / 深海性かんらん岩 / 地殻物質リサイクリング / モホ / マントル掘削 |
研究実績の概要 |
本研究は、中央海嶺近傍で採取されたかんらん岩について、特に、メルト成分に枯渇したかんらん岩に着目し、このメルト成分に枯渇したかんらん岩が、現在の中央海嶺下の火成活動より以前の融解を受けたかんらん岩である可能性を検討する内容である。 今年度は、インド洋中央海嶺近傍で採取されたかんらん岩に着目して、まずは、枯渇したかんらん岩の探索と、文献調査によるインド洋中央海嶺北部ー南部にかけてのかんらん岩の特徴を明らかにした。その結果、拡大速度の遅い北部地域と拡大速度が中程度の南部地域であるが、いずれにおいても、メルト成分に比較的枯渇したかんらん岩が、中央海嶺軸近傍、断裂帯・トランスフォーム断層というテクトニックにやや異なる場所であるにもかかわらず採取されていることがわかった。また、特に南部地域の中で、従来の中央海嶺下作用では形成されにくい岩相である斜方輝石に富む岩石が含まれていることがわかった。 これらの試料に対し、Os同位体比を測定した結果、中央海嶺下マントルの値よりも優位に高いことから、これらの試料がしづみコム海洋プレート成分付加することによって形成された可能性を考え、現在詳細を検討中である。 また、含水量を測定するために蛇紋岩化の影響をほとんど受けていない北海道の幌満かんらん岩体の試料を用いて、FTIRを用いた測定方法の開発を行った。分析方法については、現在も検討中である。 さらに、蛇紋岩化の影響をほとんど受けていない試料である北極海ガッケル海嶺の試料に関して、解析を始めた。ヒューストン大学のジョン スノウ教授と共同研究で、ガッケル海嶺の輝石の含有量の異なる試料の解析を始めたところである。また、変形程度が高い試料に関しては、結晶方位の測定を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
白金属元素や、硫化鉱物の分布など、Os同位体測定値を定量的に議論するためのデータの取得が遅れている。 また、軽元素分析についても、マシンタイムの調整がつかずに進めることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは、北極海ガッケル海嶺の試料を精力的に進める予定である。その理由は、蛇紋石化程度が少なく、分析に適しているからである。今年度は、軽元素の測定を開始する予定である。これらの試料に対し、Os同位体分析、白金族元素分析、硫化鉱物の分布など複合的な検討を行う。 Os同位体比による融解年代の推定は、そのかんらん岩の成因を考える上で重要なデータであり、この推定年代値を一つの古いー新しい融解の指標として、その他の化学分析値を比較していく予定である。 また、含水量の直接分析についても進め、含水量は変動しやすいことが知られているので、軽元素やLIL元素などの水に富む流体とともに移動する成分と複合的に検討することで、中央海嶺下では水成分に乏しいと考えられているかんらん岩の予想値の設定と、測定値を比較することで、古い時代に融解したかんらん岩の検出を試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
試料の選別が十分ではなく、次の段階である化学分析の時間を得ることができなかった。次年度に集中して分析することで対応する。
|
次年度使用額の使用計画 |
昨年度分析ができなかった試料に関して、分析補助を増やし、謝金、旅費で使用する予定である。
|