研究課題
●北極海ガッケル海嶺試料の解析 超低速拡大海域である北極海ガッケル海嶺から採取された未変形試料7試料、変形試料5試料に対して、鉱物主要、微量元素、結晶方位測定を行った。その結果、鉱物化学組成的特徴からは3種類の異なるものが存在することが確認された。また、文献調査から、これらのうちの1つはこれまで報告がなされていないタイプのものであることから、詳細な検討が必要であることがわかってきた。●インド洋中央海嶺モホ面近傍起源岩石のOs同位体比測定 インド洋中央海嶺から採取されたかんらん岩・およびモホ面近傍で形成されたと解釈される岩石について引き続きOs同位体測定を行った。その結果、中央海嶺下では、結晶境界に産していたであろうOsを選択的にメルト移動によって濃集させるメカニズムがある可能性を指摘した。また、これらの粒界に産しているOsは、過去の沈み込みの成分の影響を受けている可能性を現在検討している。この沈み込み成分は、過去のゴンドワナ大陸形成時にマントルに持ち込まれた物質である可能性が高い。●中央海嶺かんらん岩中のスピネルに包有されている鉱物の微量元素分析測定 多様な拡大速度の海洋底から採取されたかんらん岩から試料を厳選し、その中のダナイト、トロクトライトおよびそれらに関連した岩石のスピネルに包有されている輝石・かくせん石の微量元素分析を行った。その結果、マントル中をメルトが通過する際のメルトー岩石反応の多様性について議論することができた。
3: やや遅れている
流体移動性成分分析の鍵であるH分析,およびLi, Be,B分析が遅れている。良い試料の準備と測定方法の確立の困難さによるもので,研究計画よりも遅れている。
●北極海ガッケル海嶺試料の解析 従来知られているよりも,我々の解析でより多様性があることがわかってきた。特に,これまで誰も行われていない,変形運動と地球化学との関連性は,今年度強化して分析していく予定である。●インド洋中央海嶺産試料の解析 インド洋中央海嶺で採取された試料について詳細なデータがそろってきた。これらに関しては研究成果をまとめ,研究報告,研究論文として発表していく予定である。●水移動性成分およびそれを示唆する元素(軽元素)分析 本研究の重要な点である水移動性成分の挙動解明に向けた取り組みを引き続き行う。適した試料の準備,分析条件の設定・実際の試料分析など,共同研究者・連携研究者とともに進めていく。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
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