研究課題/領域番号 |
26287136
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山崎 大輔 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (90346693)
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研究分担者 |
米田 明 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (10262841)
芳野 極 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (30423338)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 内核 / 高温高圧実験 / 粒成長 / 拡散 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、内核を構成しているε鉄の粒成長速度を決定し、地震学的に推定されている粒径分布と照らし合わせることにより、内核の発展に新たな観点からの制約を与えることである。また、同じくε鉄の自己拡散係数およびそれの軽元素依存性を決定し、軽元素を含有するε鉄の粘性率の推定を行う。その結果を、観測されている地震波速度の減衰の不均質性と比較することによって、内核の軽元素の種類や量に関する知見を得ることである。 27年度は、ε鉄の粒成長速度の決定を行った。前年度に得られたデータに新たなデータを加え、総合的な解析を行った。その結果、55 GPaにおける鉄の粒成長速度が明らかになり、し、融点規格化による圧力外挿を行うことにより、内核条件での粒成長速度の推定が可能となった。得られた粒成長速度を用いると、内核の粒径分布を説明するには、約30億年という期間が必要となり、内核の年齢は30億年以上であると言える。この結果は、地球磁場の獲得年齢と調和的であるが、熱史的な推定とは一致しない。 また、拡散速度決定のために実験を行ってきている。前年度行ってきた純鉄での拡散に加えて、Siを添加した鉄での実験を行った。今後は、2次イオン質量分析計を用いて、実験試料の解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粒成長実験はほぼ完了し、解析も完了した。今後は論文としてまとめるのみである。従って、これについては順調に進展していると考える。一方、拡散実験の方はやや遅れがちであり、純鉄について多少のデータを得たことと、軽元素を添加した試料での実験を開始したというのが現状である。添加する軽元素にはSi, C, Sを予定しており、現在はSiのみであることからやや遅れていると考える。従って、総合的には、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
実験手法も確立してきており、あとは実験・分析を増やしていくことが肝要である。そのような意味では特に問題はないと思われる。ただし、60 GPa越えるようなより高圧での実験を遂行する場合に、アンビルの消耗があまりにも激しくなるようであったら、予算の都合上、実験回数を制限せざるを得ない。この場合は、低圧での実験の回数を増やすとともに精度を上げ、総合的には十分な質・量をもつデータを得ることを狙う。
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