研究課題
隕石の構成鉱物には太陽系の起源や現在に至るまでの進化の過程と年代についての情報が鉱物組織や割合、構成元素の同位体組成比や主要・微量元素分布の形で記録されており、その当時の形成過程・時間経過を知る上で非常に重要である。地球上の鉱物と同様に隕石中の鉱物にもまた色々な空間スケールで種々の元素、あるいは同位体組成比の不均質・均質性が報告されている。これは鉱物形成後の周囲の熱的影響により元々の分布から変化した、あるいは温度条件によっては元々の組成を保持することもある。この非平衡な同位体・化学組成の分布は、固体中の元素の拡散現象に大きく支配されている。従って、鉱物中における元素の拡散速度を温度の変数として精度よく決定することで、天然の鉱物中に見られる元素・同位体組成比の不均質・均質分布から鉱物の熱史を定量的に解析する事が可能となる。このためケイ酸塩鉱物中の元素の拡散係数を求めるために多くの実験的研究がなされてきた。しかしデータの蓄積は未だに十分ではなく、また研究者ごとに拡散係数の値がオーダーを超えて異なる事があるため、鉱物の熱史や放射性核種を用いた太陽系年代学の定量的議論の障害となっている。そこで本研究では、ケイ酸塩鉱物中の元素の拡散係数を求める実験的研究を行い、鉱物の熱史を定量的に解析する事を目的としている。その手法を用いる事で、隕石母天体における熱史の確立と初期太陽系年代学への影響を明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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