研究課題
様々な領域に広がるプラズマには、その学理が実験、理論、計算の協奏により確立されているという共通性がある。近年、理論計算の進歩に伴い、「2流体プラズマ」が多くのプラズマ関連分野で取り上げられている。一方、実験からも2流体の存在を示唆する間接データが出されつつあるものの、実験の難易度が高く、その詳細は不明である。そこで本研究では、イオン流体と電子流体を別々に生成してマージングするという新しい手法により、理論計算が言う所の理想的な2流体プラズマを初めて作り出し、その状態から生じるプラズマ現象、特に2流体効果を実験的に検証し、その結果を理論と比較することを目的として実施した。期間中、得られた代表的な研究実績は以下の通りである。1. イオン流体と電子流体を別々に生成してマージングするために、ペニングトラップを原型とした新しい実験装置を設計・製作した。この装置の特徴は、イオン源と電子源が直線型装置の一端に集められており、装置のもう一端側を計測器用に供することができるものであり、反物質研究へも応用できるだろう。2. イオン流体を軽元素の一つ、リチウムを用いて実際に生成し、その閉じ込め特性を理論計算と比較した。また、この研究では、当初の研究計画を超えて、イオン流体のダイナミクスを模擬するPICシミュレーションコードの開発も行い、これまで不明とされていた幾つかの現象を解明しつつある。3. マイクロチャンネルプレートを用いた2次元画像計測法を粒子数の少ないイオンに用いる場合の適用法を系統的に確立した。また、イオン流体と電子流体の2次元イメージを連続的に撮影する新しい計測手法を開発した。4. イオン流体と電子流体の重畳実験を実施し、イオン流体の径方向閉じ込めが向上することを示唆する初期結果を得た。しかし、この結果は実験条件に依存しており、パラメータ依存性を調べる詳細な実験が必要である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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