研究課題
液液界面のイオン輸送においてはリガンド種とcomplex形成をすることで輸送を促進することがあり、それは facilitated ion transfer と呼ばれてセンサーや相間移動触媒など多くの応用例がある。ただし、バルク相中でcomplexの形成がみられないようなごく微量のリガンドを加えたときでも、イオンの界面輸送速度が劇的に向上することがあることが電気化学的な輸送速度測定の実験から知られ、液液界面においてのみ一時的にcomplexが生じて界面輸送を触媒的に促進する場合がありえることが示唆されていた。本研究では、その界面での触媒的な輸送促進機構の分子論的な実体を、分子シミュレーションに基づく多次元自由エネルギー面の計算によって解明した。さらに輸送されるイオン種やリガンドの種類によって、界面輸送においてそのような触媒作用を示す場合と示さない場合の区別が生じる理由も解明した。たとえば水‐有機溶媒界面でのフッ素イオンの輸送において、テトラブチルアンモニウムイオンは触媒機能を示さないが、テトラヘキシルアンモニウムイオンではごく微量でも触媒機能を示すことが実験で報告されているが、本研究はその違いも説明した。輸送されるイオン種やリガンドの違いによって、多次元自由エネルギー面上の最適反応経路が切り替えられるメカニズムも明らかにした。これは従来からのfacilitated ion transferの概念を拡張し、界面での一時的な触媒機能が一般にありえることを解明する成果を得た。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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