研究課題
本研究は、フラーレン類の部分骨格、あるいはカーボンナノチューブのッキャップ構造に相当するおわん型共役化合物「バッキーボウル」が有する固体状態における独特のモルフォロジーを精緻に制御する手法を確立して、電気伝導性、発光性、強誘電性などの様々な物性を発現するための分子設計、およびその合成手法の開発を行うものである。27年度において、スマネン内部炭素への置換基導入手法の開発に成功したことを契機に、28年度においては本手法をさらに展開することに注力した。その結果、スマネンは通常の芳香族化合物と比べて遥かに反応活性であり、通常のベンゼン環では反応しないカルベン種や四酸化オスミウムによる酸化反応などが容易に進行することを見出した。特に後者の反応は極めてユニークな生成物を与えることがわかった。これはC60などのフラーレンと共通する反応性であり、湾曲パイ系の特徴として位置付けられることがわかった。また、27年度に開発したFriedel-Crafts型の置換基導入法を利用して、スマネン骨格の湾曲面を揃えて、金属表面に配列する手法の開発に成功した。具体的には、安定な炭素ー炭素結合を内部炭素に導入した誘導体をさらに化学変換し、硫黄官能基を導入することで、金表面に固定化した。その結果、おわんの凹面が表面に配列した金ナノロッドを調製することができた。本手法を応用することにより、湾曲パイ面の曲面/曲面相互作用を利用したセンサーの開発などに展開可能である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件)
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