本研究は、弱い相互作用を介して金属多核錯体を連結することにより、情報(電子状態、磁性)やエネルギーを高効率に伝達可能なシステムを構築することを目的として研究を進めた。その結果、熱や化学刺激に対して電子状態・磁性を可逆に変換し得る双安定性環状四核錯体を水素結合で連結した集積構造を構築し、水素結合強度の階層的変化に伴う多段階相転移を示すことを見出した。また、新規拡張π共役型発光性白金四核錯体からなる銀イオン架橋低次元集積体を構築し、集積構造の変化に伴い発光強度が飛躍的に増大することを見出した。これらのシステムは、磁性情報や光エネルギーを集積構造中で伝搬できる系とみなせる。
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