研究課題
グラファイト粉末の酸化は、Hummers法と呼ばれている手法で行った。その酸化グラファイトを超音波などを用いて水中で単層剥離することでGO薄膜を得ることができた。またrGOは、GOを還元して得ることができた。その還元手法としてヒドラジンを用いた化学的還元、紫外線照射による光還元および電気化学的還元を行い、それぞれの特性を調べた。GOのプロトン伝導について調べた結果、およそ10-2 S cm-1のプロトン伝導性を室温で示した。したがってGOは非常に大きなプロトン伝導性を示すことが分かり、また緩やかな湿度依存性に応答したプロトン伝導性も示した。またGOは電子絶縁体であるのに対して、その還元体であるrGOは電子伝導性を示した。したがって、櫛形電極や4端子電極に酸化度や還元法などが異なったGO、rGOサンプルに対して、直流抵抗を含めたインピーダンス測定を行い、電子(またはホール)伝導度とプロトン伝導を測定し、GOやrGOの酸化度、官能基、欠陥の状態との関係を検討した。ヒドラジン還元したrGOと光還元したrGOのKFM測定を行うことで、ヒドラジン還元したrGOがp型、光還元したrGOがn型の半導体特性を示すことを見出した(図9)。さらにこれらを混ぜ合わせることにより良好なダイオード特性の発現を観測することに成功した。したがって様々な条件下でのGOの還元で得られるrGOの半導体特性の制御あるいはその他の化学的還元や電気化学還元を用いることにより半導体特性の制御を試みることでrGOの半導体特性の制御に成功した。
2: おおむね順調に進展している
酸化グラフェンのプロトン伝導については、およそ10-2 S cm-1のプロトン伝導性を室温で示した。したがってGOは非常に大きなプロトン伝導性を示見出し、酸化グラフェン還元体においては、その還元手法によりp型およびn型半導体の性質を見出すことに成功したため。
水中でグラフェンに紫外線照射を行うと、水の分解が起こり水素と二酸化炭素が発生することを見出したが、これらの反応はπ共役ドメインに紫外線を照射することによりπ-π*遷移が起こりh+とe-が生成していることを表している。要するにグラフェン上でC + 2H2O → 2H2 + CO2のような反応が起こっていることが考えられる。これらの結果を踏まえて種々に還元したグラフェンを用いた光触媒における水の分解反応を詳細に検討する。
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