研究課題/領域番号 |
26288026
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
速水 真也 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30321912)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 酸化グラフェン / 金属錯体 |
研究実績の概要 |
GOはグラファイトを酸化して合成するため、グラフェン表面に酸素原子や水酸基あるいはカルボキシル基が付加して負に帯電しており、様々なカチオン性の物質と複合体を形成する。すなわち水素イオンやアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類などのイオンとハイブリッド化合物を形成させることができる。またカチオン性の機能性有機化合物や機能性金属錯体カチオンとのハイブリッド化では、磁性体や伝導体などとの複合化が可能である。これらの酸化グラフェン複合体は、酸化グラフェン水溶液にハイブリッド化させる物質の水溶液やアルコール溶液を加えるだけでハイブリッド化合物を形成することができ、容易にナノシートとして分散させることができる。酸化グラフェンハイブリッド化合物において、プロトン伝導性の向上と付加的な多機能性、例えば磁性や伝導性あるいは誘電性などの機能性を発現することに成功した。例えばGO-金属イオンやGO-金属錯体のハイブリッドを静電的な相互作用により容易にハイブリッドを合成し、これらのGOにおけるプロトン伝導や発光特性と金属イオンや金属錯体におけると磁性、伝導性、誘電性、発光特性などをハイブリッドさせることにより多重機能性を協奏的に発現させることに成功した。またここで得られたGOハイブリッドをヒドラジンを用いた化学的還元、紫外線照射による光還元および電気化学的還元することにより、rGOハイブリッドを得ることができる。例えばGO-Co2+とのハイブリッドでは、還元後rGO-CoOのハイブリッドが形成され伝導性と磁性を併せ持つ非常に稀な物性を発現することができ、rGOは伝導性や強磁性を示すため、金属イオンや金属錯体との協奏的多重機能性を発現させることにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カチオン性の機能性金属錯体カチオンとのハイブリッド化では、磁性体や伝導体などとの複合化が可能である。これらの酸化グラフェン複合体は、酸化グラフェン水溶液にハイブリッド化させる物質の水溶液やアルコール溶液を加えるだけでハイブリッド化合物を形成することができ、容易にナノシートとして分散させることができる。酸化グラフェンハイブリッド化合物において、プロトン伝導性の向上と付加的な多機能性、例えば磁性や伝導性あるいは誘電性などの機能性を発現することができるため、GO-金属イオンやGO-金属錯体のハイブリッドを静電的な相互作用により容易にハイブリッドを合成し、これらのGOにおけるプロトン伝導や発光特性と金属イオンや金属錯体におけると磁性、伝導性、誘電性、発光特性などをハイブリッドさせることにより多重機能性を協奏的に発現させることに成功した。またここで得られたGOハイブリッドをヒドラジンを用いた化学的還元、紫外線照射による光還元および電気化学的還元することにより、rGOハイブリッドを得ることができ、GO-Co2+とのハイブリッドでは、還元後rGO-CoOのハイブリッドが形成され伝導性と磁性を併せ持つ非常に稀な物性を発現することができ、rGOは伝導性や強磁性を示すため、金属イオンや金属錯体との協奏的多重機能性を発現させることにも成功した。 現在以上のようなハイブリッド化に成功しており、今後様々な機能発現が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
GOの酸素官能基としてエポキシ基は35%程度含まれており、そのエポキシ基に効率よく金属錯体配位子を修飾することに成功した。GOの特性と金属錯体の特性を生かしつつ、GO-金属イオンやGO-金属錯体のハイブリッドと同様にGO-L-金属錯体の多重機能性を協奏的に発現させる。またフタロシアニンなどの金属錯体はπ-πスタッキングなどでハイブリッドを構築することができ、還元後のrGO-フタロシアニンのハイブリッドでは巨大磁気抵抗について観測を行う。rGO単体の光触媒による水の分解は前述したメカニズムで起こるが、その効率や多機能性を持たせるため、rGOハイブリッドにおける光触媒の開発は非常に重要である。例えばGO-金属イオンのハイブリッドを還元するとrGO-金属酸化物ナノ粒子あるいは金属ナノ粒子のハイブリッドが形成され、それらは特異的な光触媒能で水の分解を行い、rGO単体に比べて優れた光触媒能を発現する。またrGO-金属錯体のハイブリッドでは光触媒能の増大のみならず、レニウム錯体などを用いた場合には、発生する二酸化炭素の還元も同時に行うことが可能であり、多機能性の光触媒を開発することを目指す。したがって様々な金属イオンや金属錯体の選択が重要であり、多重機能性を目指したrGOハイブリッドの開発を行う。またrGOは還元法によりp型あるいはn型の半導体特性を示すため、p型あるいはn型の特異性さらにはpn接合による光触媒の開発などを詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費として試薬などの見積額と実際の支払額に差が生じたため差額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に物品費として試薬など有効利用する。
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