現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)酸素活性化及び基質酸素化に最適化された非へム二核鉄含有固体触媒触媒の開発として、(a)パーオキソ二核鉄(III)から高スピンオキソ二核鉄(IV)への変換過程及び酸化活性種である高スピンオキソ二核鉄(IV)の反応性の最適化、(b)二核鉄錯体の反応場への固定化による高性能酸化触媒の創製の2点を検討する事を研究目的とした。(a)では、高い酸化活性を示す高スピンオキソ二核鉄(IV)錯体の電子的・構造化学的最適化を検討しており、ある程度の成果を挙げている。即ち、高スピンオキソ二核鉄(IV)錯体の反応性の最適化とO-O結合の開裂を経る生成過程の最適化を目的として、1,2-dipyridylethaneの構造をもつ二核化配位子に電子効果として6-hpaに電子吸引基であるニトロ基や電子供与基であるメチル基とメトキシ基を導入した。またsMMOの活性部位のカルボキシ基や周辺の疎水環境の効果を明らかにするために1,2-dipyridylethaneの構造をもつ様々なカルボン酸含有二核化配位子を合成し、その二核鉄錯体を用いて酸素活性化に成功した。(b)については、本年度以降に検討する。 (2)双安定性を鍵とするオキソ二核金属(IV)錯体のO-O結合生成を経るO2発生触媒の開発として、(a)双安定性を示す二核錯体と様々な酸化剤の反応によるオキソ二核金属(IV)錯体の生成とそのO2発生、(b)電気化学的酸化によるオキソ二核金属(IV)錯体の生成と電極への固定化による実用的O2発生触媒の開発の2点について明らかにする事を研究目的とした。(a)では、O2発生触媒サイクルを構築する。具体的には、双安定性の発現の為に1,2-dipyridylethaneの構造をもつ二核化配位子を合成し、これを用いてM = Mn, Fe, Coなどの二核金属(II)錯体を合成した。その水溶液を用いて、オキソンや次亜塩素酸などの酸化剤により、オキソ二核金属(IV)錯体に変換し、O-O結合の生成を経るO2発生に成功した。
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