研究課題
本研究の目的は、パイ-スタッキングを駆動力とした自己組織化により、多環芳香族分子に囲まれたナノ空間を有する柔軟な「芳香環ナノカプセル」を構築するとともに、その空間が持つ分子内包能を活用した特異な光物性の開拓と新規な光機能の創出を達成することである。本年度は、芳香環ナノカプセルの新たな機能の探索に成功し、(1)水中での高効率な酸化触媒反応 および(2)強発光性の多環芳香族分子固体 に関する成果を得た。以下にそれらの概略を述べる。1.水中での高効率な酸化触媒反応:水溶性の芳香環ナノカプセルの内部空間に金属錯体触媒を内包させることで、水中で高効率な触媒反応を達成した。芳香環ナノカプセルの成分と酸化触媒であるポルフィリンマンガン錯体を固体状態で磨り潰した後、水を加えるだけで、1分子のマンガン錯体を内包したナノカプセルの水溶液を得た。この溶液に、スチレン誘導体と酸化剤を加え室温で撹拌することで、エポキシドを高収率および高触媒回転数で得た。その反応機構を分光学的解析により明らかにした。2.強発光性の多環芳香族分子固体:芳香環ナノカプセルの構成分子を利用し、その親水基を疎水性のアルキル鎖に置き換えた新規なV型多環芳香族分子を合成した。この分子は固体状態で、head-to-headとhead-to-tail型に配列した2種類の固体を生成し、前者では70%以上、後者は40%程度の量子収率で蛍光を示した。また、この2つの固体は外部刺激により相互変換できた。さらに、蛍光性色素分子をドープすることで、FRETを利用した多彩な蛍光色を示す多環芳香族分子固体の作製に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 11件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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