研究課題/領域番号 |
26288038
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
荒谷 直樹 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (60372562)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 有機半導体 / 分子デバイス / アセン |
研究実績の概要 |
合理的な「分子性グラフェン」(拡張型ヘキサベンゾコロネン)の合成ルート確立とその物性の探索を目的とし、多置換ピレンからわずか2ステップで拡張型ヘキサベンゾコロネンの合成を達成した。ここで、鍵となるのは化合物の溶解性・反応性であることが予想された。特に溶解性は化合物の同定にも影響するので非常に重要であった。メトキシ基の場合は各種溶媒に対して既に難溶性であったため、溶解性を確保するために長鎖アルキル基を導入しこの問題を解決した。 バルクのグラファイトのもつ特徴が分子性グラフェンでどう現れるか調査するため、まずは単結晶の作成とキャリア移動度の測定に挑戦した。拡張型ヘキサベンゾコロネン単体では溶媒を含む単結晶が得られ、マイクロ波を用いた電導度測定では移動度は得られなかった。そこで、電子アクセプターとしてフラーレンC60を混ぜて単結晶を作成したところ、幸運なことにドナーとアクセプターが分離積層型で単結晶となった。マイクロ波分光によって有機物としては最高クラスの移動度が得られたため、現在過渡吸収分光解析を進めている。また、別の合成ルートでテトラベンゾペリペンタセンの合成にも成功し、ベータグラファイト型の結晶構造を得た。5電子もの蓄電能力があることを確認した。さらにはこれまで全く研究例がない含硫黄PAHの合成にも挑戦し、骨格の構築には成功した。 今後は、モデル反応として拡張ヘキサベンゾコロネンと金属リチウムとの錯体化を試みる。また、本研究で得られる分子性グラフェンを酸化し、どこがどのように酸素化されているかを原子レベルで明確にする。得られた「分子性酸化グラフェン」を用いた触媒反応にも挑戦する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
合理的な「分子性グラフェン」(拡張型ヘキサベンゾコロネン)の合成ルート確立とその物性の探索を目的とし研究をスタートしたが、すでに多置換ピレンからわずか2ステップで拡張型ヘキサベンゾコロネンの合成を達成した。化合物の溶解性を確保するために長鎖アルキル基を導入し、各種測定や成膜性に全く支障がないほど有機溶媒に溶け、かつ単結晶の作成も可能である絶妙な溶解性を達成できた。 バルクのグラファイトのもつ特徴が分子性グラフェンでどう現れるか調査するため、まずは単結晶の作成とキャリア移動度の測定に挑戦した。絶妙の溶解度が達成されたおかげで拡張型ヘキサベンゾコロネンの単結晶が得られ、マイクロ波を用いた電導度測定が可能となった。電子アクセプターとしてフラーレンC60を混ぜて単結晶を作成したところ、幸運なことにドナーとアクセプターが分離積層型で単結晶となった。すなわちドナー性の平面分子がπスタックによって電荷のキャリアパスを形成した。望外にも、マイクロ波分光によって有機物としては最高クラスの移動度が得られた。また、別の合成ルートでテトラベンゾペリペンタセンの合成にも成功し、天然には存在しない、ベータグラファイト型の結晶構造を得た。丁寧に電気化学測定を行った結果、5電子もの蓄電能力があることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、バルクのグラファイトのもつ特徴が分子性グラフェンでどう現れるか、モデル反応として拡張ヘキサベンゾコロネンと金属リチウムとの錯体化を試みる。また、本研究で得られる分子性グラフェンを酸化し、どこがどのように酸素化されているかを原子レベルで明確にする。得られた「分子性酸化グラフェン」を用いた触媒反応にも挑戦する。 含硫黄PAHの合成にも挑戦し、2電子酸化体の構造解析を試みる。
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