研究課題
現在もっともホットな研究対象の一つであるグラフェンのモデル研究として、構造の明確な、分子として扱うことが可能な「ナノグラフェン」の科学を探究している。テトラベンゾペリペンタセンはsp2炭素56個からなる平面分子であるが、結晶中では天然には見られないβ型グラファイトの重なり方をしていた。溶液中でもπ平面が安定してスタックした状態を保つことができれば、分子性のグラファイト(ナノグラファイト)として、面間の相互作用や層間貫入化合物の合成や性質を調べることができる。そこで我々はそのプロトタイプとして、1,8-ナフタレン架橋によってペリレンを強制的に積層することに成功した。ペリレン層間の距離が、一般的な結晶中に見られるπ-πスタックよりも短く、グラファイト中の炭素シート間距離と同等であることを単結晶X線構造解析から明らかにした。2量体の電気化学測定から、第1酸化電位がペリレン単量体と比べて200 mV程度低くなっていることが明らかになり、安定なカチオンダイマーを形成していることが示唆された。積層2量体の吸収スペクトルは単量体と比べて長波長シフトしており、その蛍光は狙い通りエキサイマー発光を示した。同じ手法で3量体まで合成に成功している。リチウムイオン電池はグラファイト負極を用いており、炭素シート間に金属を挿入することは安定なレドックスの達成に繋がると予想される。そこで金属原子をサンドイッチした層間化合物の合成にも挑戦している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 5件、 査読あり 15件、 謝辞記載あり 10件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 8件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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