研究課題
近年、ナノ集積体に関する研究が急速に発展している。このようなナノ集積体は、大きな比表面積を持ち、さらに微粒子とは異なりその分子配列が制御されているので、既存の有機材料には無い優れた特徴を持つ。申請者は、有機π電子系材料およびその有機金属化合物とのハイブリッド材料を用いて、新しい超分子機能材料の開発を研究してきた。また、申請者は、ナノサイズの非常に大きな分子を合成して、その単分子としての機能および超分子会合体のナノ特性を研究してきた。本研究ではこれらの研究をさらに進めて、有機π電子系を使って新しいナノ集積体を構築し、ナノサイズ効果および超分子配列を使って新しいナノ物性を発現させると共に、ナノ集積体をマテリアルサイエンスの鍵物質として利用する基礎を築くことを目指した。先ず、大きな共役π電子系化合物を用いる共役ナノドット、ナノファイバーなどのソフト構造体の構築とそれらのハード材料への接合の制御であるが、この研究は、現在、ナノファイバーを合成して、その物性を調べている。また、土星型環状オリゴチオフェン・C60錯体を用いる新規導電性-光物性の発現と分子素子の構築については、各種土星型環状オリゴチオフェン・C60錯体を合成して、その光誘起電流の測定とスイッチ機能を調べた段階であるが、分子素子の構築に向けた基礎を完成させることができた。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度に計画した土星型環状オリゴチオフェン・C60錯体の合成はすでに完成し、その錯体の示す光誘起電流についても測定を完成させている。また、この錯体をグラファイト上に作って、STM測定と電導度測定も行った。
申請者らはこれまでに合成したπドナー分子を用いてヘリカルテープ、ミクロリング、カチオンラジカル塩の破断により生成するダブルへリックスとトリプルへリックス、およびラジカル塩の超分子リングの作成、およびナノファイバーへのC60のインターカレーションを見出しているので、これらの知見を活かして多様な構造形成の原理を解明し、それに基づき光学活性ヘリカルテープ、ナノカプセル、電導体リングの構築を行なう。また、光伝導性を示すナノファイバーの研究を更に進め、光電変換効率の向上とスイッチ機能の確立を目指す予定である。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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