研究課題
「ラジカルメタロイドの創製と機能」では、これまで、ニトロニルニトロキシド(NN)の2位に金、銀、銅(I)等を導入したラジカルメタロイドを合成し、これらのNN部の酸化電位が大きく低下する(0.5 V程度)ことを明らかにしている。さらに、NN-Au-PPh3は、Pd(O)触媒の存在下、アリールハライドAr-X(X=I, Br)と反応してAr-NNを与えることを見出し、NN導入のための高効率クロスカップリング試薬となることを見出している。平成28年度は、1)NN-Au-ホスフィン錯体の一般的合成法を確立し(論文1)、さらにそれらの多核金錯体の合成と性質について検討した。特に1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼンを介在させた2核金錯体は固体状態で短いAu(I)-Au(I)接触を示し。その効果は溶液中でも、吸収スペクトルの変化(ソルバトクロミズム;412 nmベンゼン中)、酸化還元電位、分子内のNN間のスピン間相互作用に基づく三重項状態の固体ESRスペクトルのゼロ磁場分裂定数D値に大きな影響を与えることを明らかにした。さらに2)イミノニトロキシド(IN)-金(I)から成る新たな三量体錯体を合成し、INは三量体内で強磁性的に相互作用することを明らかとした。さらに三量体間に銀イオンを挿入した化合物の構造と磁性を明らかにした(論文2)。「有機金属錯体のスピン軌道相互作用を利用する長寿命光電荷分離状態の生成と応用」では、トリフェニルアミンとナフタレンジアミンの連結体のポリマーマトリックス中の光電荷分離を検討し、ポリスチレン(PS)等のポリマーマトリックス中、室温で、数百ミリ秒、トルエンマトリックス中、100 K で、5秒程度の長寿命光電荷分離状態を観測した(論文3)。白金を導入した系では外部磁場を印加することにより光電荷分離状態をさらに長寿命化することができた(論文4)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (38件) (うち国際学会 25件、 招待講演 4件)
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