研究課題
不活性C-H結合活性化を実現する新たな触媒系の創製に取組んできた。当初計画した触媒設計では、想定した機能は実現できなかったため、設計変更を経て、(1)キラルスルホン酸を組み込んだ触媒系、および、(2)複核錯体の外部にソフト金属を取り込み可能なスルホキシドを配置した複核シッフ塩基触媒、の2点の開発に成功した。(1)の系においては、カチオン性金属触媒をピロールの位置選択的アルケニル化する反応を通じて基本知見を収集し、最終的に6-アリールプリンとエノンとの反応において90:10のエナンチオマー比を実現することに成功した。スピロ骨格を有する新規キラルスルホン酸を開発し、C-H活性化を担う錯体へと組み込むことで初めて高い収率と選択性が実現できることが明らかとなった。付加段階での不斉誘導を実現する例はこれまでに数例しか例がなく、非常に価値のある成果であると考えている。また、(2)の系は、当初設計の複核錯体のコンセプトを活かしつつ不斉C-H官能基化を実現するための修正した設計コンセプトである。亜鉛とパラジウムを組み合わせたヘテロ複核錯体を系中で用事調製して使用することで、分子内のアリル位C-Hアミノ化反応において75:25erを発現できることがわかった。これまでに全く報告例のない、複核錯体に基づいたキラル反応場の構築であり、いまだエナンチオ選択性に改善の余地は残すものの、学術的には意義深い成果であると考えている。また、ラジカル種を経る反応としは、パラジウム、光酸化還元触媒、チイルラジカル前駆体を併用する系について、テトラヒドロナフタレンからの脱水素化に成功し、成果を取りまとめた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Am. Chem. Soc.
巻: 139 ページ: 2204-2207
10.1021/jacs.7b00253
http://www.pharm.hokudai.ac.jp/yakuzou/publication.html