研究課題
硫黄修飾金担持型パラジウムナノ粒子触媒SAPdNp(Sulfur-modified Au-supported Pd Np)は鈴木-宮浦カップリング、Buchwald-Hartwig反応、炭素(sp2およびsp3)ー水素結合活性化反応などにリガンドフリーで機能する新触媒であり、反応溶液中へのPd漏洩量が文献紙上最小レベル(最小1桁ppbレベル)で繰り返し利用が可能(最大数百回)であることから、産業界でも使用されている。しかし、SAPdの構造が不明であることから、より活性の高い触媒や、別の金属ナノ粒子触媒の開発が困難な状況であった。平成26年度に、我々は電子顕微鏡実験(TEM実験)及びSPring-8でのビームラインを横断したX線微細構造分析(XAFS実験、BL14B2 硬X線: Pd-K殻、BL27SU 軟X線:S-K殻、O-K殻)を駆使することによりSAPdの構造を解明することが出来た。即ち、SAPdは5 nm 程度のPdナノ粒子が多層状且つ自己組織的に集積したものであり、これら高活性Pdナノ粒子はPd定着時に使用した溶媒キシレンのポリマーに硫酸イオンが織り交ぜられたものであることが分かり、SAPdの優れた機能が構造的にも理の通ったものであることが分かった。また、より高活性なナノ粒子触媒の製造には、適切な還元剤の選択が必要であることが実験事実から判明して来た。SAPdNpを用いたフロー合成装置の試作機も作製することが出来た。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度研究実施計画の全てについて想定していた結果が順調にえられている。
本研究課題申請時の研究計画に基づき、引き続き研究を推進する。
研究等耐震改修工事・引越による物品購入の遅れ及び博士研究員の採択時期の遅れ
研究等耐震改修工事・引越も終了し、当初購入予定の物品を購入し始めている。また、研究員を引き続き雇用する。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 12件、 謝辞記載あり 11件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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