医薬品や農薬等の生理活性を有する有機化合物を効率良く合成する手法の開発は,現在の有機化学の重要な課題の一つである。 炭素―水素結合を活性化し,水素の[1,5]移動に引き続く環化反応により新たな環状骨格を構築する手法の開拓に取り組んだ。分子内で酸化反応と還元反応が同時に進行しているために,外部から酸化剤を加える必要がない効率的な優れた反応であり,分子内レドックス反応とも称される。本研究では,連続的な分子内レドックス反応の開発による三環性化合物の合成に成功した。また,不斉触媒反応による光学活性な環化体の合成手法の開発にも成功した。
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