研究課題
これまでの検討により、セルロースナノシート(CNS)の水分散液を超音波処理して得られる微細化CNSが高い加水分解活性を示すものの、これらの微細化CNSは水中で経時的に凝集し、活性が低下するといった問題があった。そこで、さまざまな基質の加水分解反応に応用することを目指し、高活性な微細化CNS水分散液を調製する手法について検討した。まず、微細化CNS水分散液を濃縮することによる高活性化について検討した。濃縮度合いを変化させた微細化CNS水分散液を調製し、低分子モデルエステル基質を用いて加水分解活性を評価した。その結果、濃縮度合いに対して加水分解活性は単調には増大しなかった(例えば、5倍濃縮しても活性は2倍程度であった)。つまり、濃縮による高活性化は可能であるものの、濃縮の過程で微細化CNSが凝集し、重量あたりの活性が低下することが分かった。そこで、濃縮前後の微細化CNS水分散液にポリエチレングリコール(PEG)を添加することで凝集を抑制し、活性を維持できるか検討した。10%までの濃度でPEGを添加して加水分解活性を評価したが、その効果は見られなかった。次に、CNSを微細化する超音波照射時にPEGを添加することで微細化CNSの凝集を抑制し、高活性な分散液を調製することを検討した。異なるPEG濃度において調製した微細化CNS水分散液の加水分解活性を評価した結果、重量あたりの活性を効果的に向上できることが分かった。例えば、10%のPEG存在下で調製した微細化CNS水分散液は、PEG非存在下で調製した分散液と比べて、2.5倍の活性を示すことを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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