研究課題/領域番号 |
26288061
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋爪 章仁 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70294147)
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研究分担者 |
佐藤 尚弘 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10196248)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高分子認識 / 物質変換システム / 結合形成反応 / ホルモース反応 / 銅触媒アジドアルキン環化付加 / スルホン酸ポリマー / ボロン酸ポリマー |
研究実績の概要 |
生命現象を支える化学反応は、温和な条件下、選択的かつ効率的に進行するため、持続可能社会の実現において手本とすべき化学反応である。生命現象を支える化学反応は、生体高分子が他の分子を認識(高分子認識)して形成された超分子複合体によって駆動されている。持続可能社会の実現のため、生体系における化学反応を手本として高分子認識を基盤とする物質変換システムの創製が強く望まれている。そこで、本研究では、触媒残基、活性化残基、安定化残基、相互作用残基などの機能性残基を高分子鎖中に適切に配置させることにより、高分子認識における高分子鎖の効果を積極的に利用して、高性能な物質変換システムを創製することを目的とする。本研究では、ホルムアルデヒドからの糖形成反応であるホルモース反応、および、ビニル化合物の重合、銅触媒アジドアルキン環化付加などの結合形成反応に焦点を絞る。 本年度は、昨年度に調製し特性化を行ったスルホン酸を有するポリマーに加え、ボロン酸残基を有するポリマーを種々調製し、特性化を行った。調製および特性化したスルホン酸ポリマーとボロン酸ポリマーを用いて、ホルモース反応を行い、これらのポリマーのホルモース反応に対する効果を転化率と生成物の観点から調査した。比較のために、低分子スルホン酸およびボロン酸のホルモース反応に対する効果も調査した。また、マイクロ波照射によるホルモース反応についても調査を開始した。 以上のホルモース反応系の調査に加え、銅触媒アジドアルキン環化付加の反応基質として用いる化合物の合成にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はホルモース反応についての調査を本格的に開始した。スルホン酸ポリマーとボロン酸ポリマーを添加してホルモース反応を行ったところ、いずれの場合も反応は抑制される傾向を示すことが明らかとなった。ボロン酸ポリマーを添加してホルモース反応を行った場合、生成物の選択性を高速液体クロマトグラフィーによって確認した。興味深いことに低分子ボロン酸の存在下においても、ホルモース反応の選択性が観測されたが、低分子と高分子の場合では異なる選択性であった。また、マイクロ波照射がホルモース反応を急速に進行させ、選択性を与える予備的結果も得られた。 さらに、次年度に予定している銅触媒アジドアルキン環化付加のための反応基質の合成も開始した。 以上のことから、研究の進捗は概ね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ホルモース反応の生成物を高速液体クロマトグラフィーやNMR、質量分析測定などを駆使して詳細に同定し、反応の選択性と添加ポリマーとの関連を明らかにする。また、高分子認識を用いた重合および銅触媒アジドアルキン環化付加についても、これまでのホルモース反応と同様に遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に研究打ち合わせのためカールスルーエ工科大学Baner-Kowollik先生を訪問をする予定があり、物品費及び旅費などが不足する可能性があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費及び旅費として使用する。
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