研究課題/領域番号 |
26288062
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高島 義徳 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40379277)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 分子認識 / 超分子化学 / アクチュエータ / ホスト-ゲスト相互作用 / 材料特性評価 |
研究実績の概要 |
1.高速応答性を示す超分子アクチュエータの作製 光刺激応答性のアクチュエータの構築にあたり、シクロデキストリン(CD)とアゾベンゼン分子(Azo)を高分子側鎖に修飾した超分子アクチュエータを作製した。より速い応答性と大きな体積・形態変化を観察するためには、ゲルの吸水・離水を高めることが有効と考えた。重合条件として、乳化重合を行うことによりミクロレベルのポーラスを作製することで刺激に対する吸水・離水が向上されることが明らかと成った。現在、マレイン酸誘導体を作製することで、配列制御行い、CDユニットとアゾユニットの交互共重合体が示す体積変化の効果について検討している 2.高靭性超分子マテリアルの作製と力学評価 化学架橋型のゲルでは、架橋点にて構造が固定化されており、過大な応力が掛かると、歪を分散できず、共有結合が切断される結果、内部に残存歪が残る。一方で、包接錯体を非共有結合性架橋点として利用すれば、包接錯体の可逆的な形成と解離により、歪が分散され、靭性に優れた材料が開発できると考えた。平成26年度は、基本骨格として、CDとアダマンタン (Ad) を高分子側鎖に修飾した材料を作製し靭性評価した。その結果、元の体積に対して、約30倍まで延伸可能な超分子マテリアルの作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にのっとって、光刺激応答性の超分子材料(アクチュエータ)の作製に成功した。また得られた得られたアクチュエータの応答性向上が課題になっていたが、乳化重合法を選択することで応答性の向上が見られた。 高靭性材料の作製においても、当初予見していたよりもはるかに靭性の高い材料の作製に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
超分子アクチュエータと高靭性超分子材料の更なる機能改善において、ゲル内部の刺激応答メカニズムや可逆的な結合の寄与について明確な解釈には至っていない。次年度においては、材料内部の応答メカニズムの解析に注力して、さらに刺激応答性や靭性機能の向上を計る。 また平成27年度においては当初計画では、「靭性と刺激応答性を兼ね備えた超分子アクチュエータの作製と力学特性の評価」と「配向制御された挿し違い超分子錯体を組み込んだ超分子アクチュエータの作製とその靭性評価」を計画していたため、これらについても順次研究展開を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に導入した引っ張り試験機を用いて、前期はその機器を用いたデータ収集に集中した。その結果、作製した超分子材料は固体状態で興味深い物性データを示した。材料物性の考察の結果、より深い考察を行うためには薄膜として試験することが重要との知見を得た。よって、平成26年度に予算として、無理に執行せず、翌年度予算と合わせて、スクラッチ試験機を購入することで、さらに進んだ研究展開を行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度から繰り越した予算と平成27年度予算を合わせて、スクラッチ試験機を購入し、更なる研究推進を行うこととした。
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