研究課題
波長分散型蛍光X線分析法に原理を置く蛍光X線イメージング分光器を開発し、大面積試料への適用を目指して、装置の改良や実証実験を行った。具体的には、2次元の試料移動ステージを新たに導入し、走査型の高速イメージングを試みた。実験手順として、イメージングを行いたい元素の回折角度に分光結晶と2次元X線検出器を調整する。その後、2次元コリメーターの視野内の蛍光X線像を取得する。次いで、2次元の試料ステージを用いて、分析視野を走査する。この手順を繰り返しながら、大面積試料の元素分布像を取得することに成功した。試料の走査という作業を伴うものの、露光時間は数秒ですむことから、他の蛍光X線イメージングに比べて、迅速なイメージングが可能であることが実証された。この手法を用いて、絵画などの大面積の試料において使用されている顔料の構成成分に対応する元素分布像を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
当初の目的である高速な蛍光X線イメージング装置の開発に成功し、空間分解能の向上も図ることができた。分析視野の拡大方法も提案でき、順調に研究は進んでいる。
X線2次元検出器は数センチ角とかなり大きいが、2次元コリメーターとして用いたポリキャピラリーの内径で分析視野が制限されている。その対応策として今年度は試料を走査することで大面積のイメージングを実証したが、根本的な解決方法を探っていかねばならない。そこで、次年度(最終年度)には大面積用の2次元コリメーターの開発を目指す。
購入予定であった物品購入が次年度に持ち越しとなった、
コリメーターの設計を打ち合わせし、購入計画を進める。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 10件、 招待講演 3件)
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