本研究は,3つのシグナル増幅法と誘電泳動による細胞操作を融合した迅速,簡便および検出感度の向上をキーワードとした免疫測定デバイスの開発を目的とする.これまで,個々に開発してきた3つの技術を組み込んだ,迅速,簡便および検出感度の向上をキーワードとした免疫測定デバイスの開発を行う. まずは,電気化学的な銅イオンの電解析出法を利用した大量一括に酵素内包アルギン酸ゲル粒子の作製に成功した.金属銅基板上に作製したマイクロウェルアレイを用いて電解酸化することによりウェルにゲル粒子を作製し,形成されたゲルサイズの電解酸化時間,印加電流,ウェル直径依存性を調べた.作製した粒子を高効率に回収し,電気化学顕微鏡を用いて包括された酵素の活性を評価した.この粒子を誘電泳動により操作し,迅速にパターンを作製することができた.さらに,抗体を修飾したゲル粒子を用い,免疫反応により基板上にパターン化することができた.また,ニードル型マイクロ電極の先端に集積化することも可能であり,局所的に酵素を固定化したマルチマイクロ酵素センサの開発が可能であることを示した. 作製した酵素包括ゲル微粒子を用いたレドックスサイクリングおよび変換クーロメトリー法による酵素反応生成物の高感度計測を行った.さらには,ゲル作製時に使用した銅イオンを免疫ラベルとして利用した超高感度免疫測定法の開発にも着手し,誘電泳動による迅速な免疫反応を組み込むことにより,迅速,簡便,高感度な免疫測定法を開発できる可能性を示した. 当初予定していた研究以外に,バイオLSIを用いた電気化学的なマイクロモザイク免疫アッセイによる,多サンプル多項目同時計測に成功した.
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