研究課題/領域番号 |
26288074
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
丹羽 修 埼玉工業大学, 先端科学研究所, 教授 (70392644)
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研究分担者 |
吉岡 恭子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50358321)
加藤 大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (80533190)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電気化学 / ナノアロイ / カーボン薄膜 / スパッタリング / 腸疾患マーカー / 糖類検出 |
研究実績の概要 |
本研究では、腸の機能疾患、特に腸の物質透過性の変調を診断するためにサイズの異なる2種類以上の糖を摂取し、尿中に排出される糖類の量比を測定することで診断を行う方法に対して、より簡便で高感度な検出を目的とし、高い電極触媒活性を有する合金ナノ粒子(ナノアロイ)が分散したハイブリッド型のカーボン薄膜電極を開発することを目的とする。前年度まで、共スパッタ法で作製したにニッケルと銅のナノアロイが分散したカーボン薄膜電極で、カーボン膜がない金属薄膜のアロイに比べて安定性が大きく向上することやニッケルと銅のナノアロイが最適な触媒活性を示す比率を明らかにした。 H28年度では、まずカーボン薄膜中に分散させるナノアロイの最適な濃度について検討した。スパッタ条件でナノアロイの組成を保持したまま、金属濃度を6~15%の間で変化させた。非代謝糖マーカであるラクツロースやスクラロースなど5種類の糖で感度をまずサイクリックボルタンメトリで評価すると共に、実際高速液体クロマトグラフィーの検出用電極に使用して評価を行った。その結果、最適なナノアロイ濃度(約10%)では、従来の金電極に比較し1桁以上低い検出限界を達成すると共に、データの精度(ばらつき)も向上した。また、通常の糖類測定では金バルク電極を用い電極の活性低下を防ぐために多段階のパルス電位を繰り返し印加して測定を行う。一方、ナノアロイ分散カーボン薄膜電極では、一定電位で連続的に試料を注入しても安定に測定を行うことができた。更に、診断(マルチシュガーテスト)に用いる5種類のマーカの分離検出を行うことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
銅とニッケルからなるナノ粒子(ナノアロイ)が分散したカーボン薄膜電極の開発において、前年度にニッケルと銅の金属比を今年度にナノアロイの量を最適化することができた。最適化した電極で腸の透過性の診断に用いる糖のマーカーの一括計測を電極を高速液体クロマトグラフィー装置の検出器に用いて、目標である従来の電極の検出限界を凌駕する検出限界を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるため当初の予定を達成できたが、実試料が測定可能どうか、人工尿の試料中の糖マーカの分離計測を行う。また、3年間の本研究の成果に対して国内、国際会議より招待講演を依頼されたため、H29年度に成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗により、実試料が測定できそうな感度と検出限界が得られたため、次年度に尿試料を模したサンプルを調整し、測定の実証を行う必要が生じた。また、H28年度後半に本成果に関して、国際会議と国内の年次大会(分析化学討論会)から招待依頼講演を依頼されれ、開催が、H29年度の5月のため、予算を繰り越して旅費に当てる必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実試料を模した糖疾病マーカを作製し、高速液体クロマトグラフィーでの検出を実証する。また、その成果を論文化する。更に成果を5月の国際会議(中国、海南島)で招待講演を分析化学討論会で依頼講演を行い成果の普及をはかる。
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