研究課題
マルチ銅オキシダーゼであるCueOの結晶構造解析データにマイナーな成分が存在することを見いだし、緩衝液由来の酢酸イオンがタイプII銅に結合していることを明らかにした。この結果は、ドメイン間に形成された狭いチャンルを通して外部アニオンが活性部位まで到達可能であることを示していた。また、酸素を水に変換する過程で必要なプロトンが水分子の排出経路からも供給されることがわかり、マルチ銅オキシダーゼが酢酸緩衝液中で高い活性を示す理由が明らかとなった。さらに、これまでマルチ銅オキシダーゼの結晶化は酢酸緩衝液でしか行うことができず、部分還元状態の構造が得られることが多かったが、初めて中性付近での結晶化に成功し、構造解析を行った。さらに、酵素反応に関するより詳細な情報を得るため、プロトンを可視化することを計画し、重水中でCueOの結晶化を行った。最終的に中性子回折を行うことが可能な巨大結晶はまだ得られていないが、重水中で作成した結晶でも構造解析できることが明らかとなった。また、酸素の還元部位近傍に配置されたアミノ酸に変異導入し、これらが酸素の水への変換過程で、電子ドナーとして機能していないことを明らかにした。CueOと異なりビリルビンオキシダーゼでは基質からタイプI銅への電子の通り道としてトリプトファンとヒスチジンが翻訳後修飾によって共有結合していることを見い出した。そして、部位特異的変異導入や化学修飾によってこの経路に摂動を加え、新規の翻訳後修飾部位が電子伝達経路ばかりでなく酸化還元電位の調整部位としても機能していることを明らにした。酵素活性を高めたCueOとビリルビンオキシダーゼ変異体の電気化学測定を行い、メソポーラスカーボンなどによって高い電流値を実現し、電極触媒として利用出来ることを示した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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