研究課題/領域番号 |
26288081
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山東 信介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20346084)
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研究分担者 |
岡本 晃充 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60314233)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細胞膜 / センサー / 生体分子 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、細胞膜上での分子挙動解析を目指し、細胞表層にて機能する蛍光分子センサーの開拓を目指している。本年度は、研究計画に従い、基礎課題I,II(細胞膜アンカリング、挙動解析)、応用課題I(蛍光アプタマーセンサーの改善)を中心に研究を進めた。
「基礎課題I,II(細胞膜アンカリング、挙動解析)に関しては、機能性分子を細胞表層に効率的かつ長期的に固定化する脂溶性分子に着目し研究を進めた。脂質分子を空間的に分離した多点脂質アンカリングタグを設計し、その評価を実施した。具体的には、2種の脂質ホスホロアミダイトを有機化学的に合成し、様々な空間配置で脂質分子を導入した種々の脂質-蛍光修飾核酸アプタマーを調製した。設計した脂質-蛍光修飾核酸アプタマーの合成は質量分析によって確認した。合成した脂質-蛍光修飾核酸アプタマーを浮遊細胞表層に固定化し、その挙動を蛍光顕微鏡やフローサイトメーター等を用いて定量的に解析した。その結果、設計した多点脂質アンカリングタグは一定の改善を示したものの、目的とする生体応用に十分な保持時間に到達できていないことが明らかとなった。一方、得られた結果を含む詳細な検討から、剛直なリンカーを用いた多点脂質アンカリングタグの設計により、本問題が改善できる可能性が示唆された。
応用課題I(蛍光アプタマーセンサーの改善)に関しては、酸化電位の異なる人工塩基を含有する修飾核酸アプタマーを設計し、蛍光測定等を用いた評価により蛍光応答メカニズムの解明を進めた。その結果、メカニズムをもとにした新たな蛍光核酸アプタマーセンサーの提案に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定した基礎課題I,II(細胞膜アンカリング、挙動解析)、応用課題I(蛍光アプタマーセンサーの改善)に関しては、予定通り実験を実施した。「基礎課題I. 細胞表層への核酸アプタマー長時間アンカリング」、及び「基礎課題II. 細胞表層における核酸アプタマー挙動解析」に関連する多点脂質アンカリングタグ開発に関しては、プロトタイプの設計では目的とする生体応用に十分な保持時間に到達できていないことが明らかとなったが、その詳細な考察から改善案の提案に至っており、次年度以降も精力的に研究を進めていく。「応用課題I. 伝達物質を標的とする蛍光核酸アプタマーセンサーの改善」に関しては、蛍光OFF/ONメカニズムに基づく改良型蛍光アプタマーセンサーの設計に至っており、次年度以降の研究によって、目的とするよりシグナルOFF/ON比の高い蛍光アプタマーセンサーの開発につながると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
基礎課題I,II(細胞膜アンカリング、挙動解析)に関しては、本年度得られた結果、考察をもとに多点脂質アンカリングタグの開発を進めるととともに、細胞膜上での2次的相互作用や連結反応を利用した化学的手法も検討を進める。また、応用課題I(蛍光アプタマーセンサーの改善)に関しては、本年度の解析結果をもとに、実応用に向けた蛍光アプタマーセンサーの課題(蛍光OFF/ON比、蛍光退色、蛍光波長)を克服した、改良型蛍光アプタマーセンサーの開発を実施する。
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