研究課題/領域番号 |
26288095
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
畠山 琢次 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (90432319)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 熱活性化遅延蛍光 / 多重共鳴効果 / 有機半導体材料 / 円偏光発光 / ヘリセン / トリアンギュレン |
研究実績の概要 |
効率と色純度を兼ね備えた有機EL用熱活性化遅延蛍光材料の開発に成功した.一般に,熱活性化遅延蛍光材料はドナー部位とアクセプター部位からなり,各々にHOMOとLUMOが局在化することで,励起三重項エネルギーを最大化し,効率的な熱活性化遅延蛍光を可能としているが,励起状態での構造緩和が大きくなり,発光スペクトルがブロードになるという問題がある.一方,今回開発した熱活性化遅延蛍光材料は,ホウ素と窒素の多重共鳴効果により,剛直な同一の芳香環上の隣り合う炭素にHOMOとLUMOを局在化させることで,半値幅が30 nm以下の極めて色純度の高い発光スペクトルを示す。 また,分子内での脱メチル化反応に伴う環化反応により,縮環部にホウ素を導入しながらダブルヘリセン骨格を構築する手法の開発に成功した。合成したダブルヘリセンは,優れた電荷輸送特性と円偏光発光を示すことが明らかとなった. 更に,ホウ素,リン,ケイ素を中心に有するトリアザトリアンギュレンの合成に成功した。単結晶X線構造解析により,ホウ素誘導体は平面構造であり,リンおよびケイ素の誘導体はお椀型構造をしていることが明らかとなった.今後,ホウ素誘導体は発光材料や有機半導体材料として,リンおよびケイ素の誘導体は,新たな包接分子やセンサーとしての応用が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
励起三重項エネルギーの制御により,熱活性化遅延蛍光材料の新たな設計指針を打ち出した.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り進んでいるため,今後も,計画通り研究を推進していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
残金では購入できない高額な物品の購入が必要だったため,次年度予算と合算して購入することとした
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次年度使用額の使用計画 |
残金は少額だったので,次年度の使用計画に大きな変更はない
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