本研究では弾性率などの力学物性値をナノスケールの空間分解能で画像化できる、研究代表者がこれまで開発してきたナノ触診原子間力顕微鏡を粘弾性計測が可能となるように発展的に拡張した。具体的には広帯域の周波数掃引と温度制御を行えるようにし、それによって線形粘弾性理論の根幹である温度時間換算則における最も重要なパラメーターであるシフトファクターを、巨視的な粘弾性計測装置が計測するそれよりも精密に計測することを目指した。フィラー充填ゴムをモデル試料として行った研究では、損失正接のピークが界面で低周波数側にシフトしていることが判明し、タイヤ業界が開発現場で最も欲している情報を取得することに成功した。
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