研究課題/領域番号 |
26288102
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研究機関 | 公益財団法人九州先端科学技術研究所 |
研究代表者 |
坂本 純二 公益財団法人九州先端科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (10619646)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高分子合成 / 有機化学合成 / 二次元重合 / シート状高分子 / 機能性高分子 / 有機半導体 / 高分子材料 / ナノ材料 |
研究実績の概要 |
前年度に着手した芳香族モノマーの合成とそれらの二次元重合に加えて、今年度新たに天然高分子を基礎骨格とするマクロモノマーを合成し、その二次元架橋重合に成功した。このマクロモノマーは、これまでに合成した芳香族モノマーと比べて格段に合成が簡便であり、安価に大量合成でき、さらに、特定箇所に選択的に官能基を導入できることを見い出した。原料が天然由来の高分子であることも、再生可能資源の有効利用の観点から有意義である。これらのことは材料への応用へ向けた今後の研究の展開において大きなアドバンテージとなることが予想できることから、特許の申請を行った。 さらにこのマクロモノマーは、穏和な条件(室温、大気下)で、非常に効率よく架橋重合することを見い出した。その重合機構は従来にない非常にユニークなものであり、新しい重合の概念を提示している。重合生成物の原子間力顕微鏡観察の結果、絶縁体の固体基板表面上に均一な厚みの二次元高分子が形成し、そのナノ構造も均一に制御されていることを確認した。さらに、二次元高分子の側鎖に導入された芳香族基がπ-πスタッキングで規則正しく配列していることがNMR測定により示唆された。現在これらの知見を利用し、マクロモノマーの側鎖構造を変化させること等により、二次元高分子に様々な輸送機能を付与する試みを行っている。さらに、自立構造の二次元高分子を合成するため、気-液界面を利用した重合のための条件検討も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は芳香族モノマーに加えて、天然高分子を基礎骨格とする新しいモノマーを用いた二次元高分子の合成に成功した。この新しいモノマーは合成が非常に簡便な上に、官能基の導入も行いやすい。さらに、その重合体のナノ構造を均一に制御できることも見出した。このように、今後の機能性材料への応用へ向けた研究展開のために非常に重要な知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
二次元高分子の汎用的合成法の開発を継続して行う。とくに、天然高分子を基礎骨格とするモノマーを用いた二次元高分子の合成では、伝導性を中心とした機能性付与を重点的に研究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Langmuir-Blodgett膜作製装置を設置・収納するための防振台と防埃カバーを初年度に購入予定であったが、研究所内の分析室に設置されている既存のテーブルとカバーで代替できた。
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次年度使用額の使用計画 |
Langmuir-Blodgett膜作製装置やリサイクル分取HPLCの周辺基材や消耗品、および、学会参加費や旅費等に利用する。
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