研究課題/領域番号 |
26288106
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中西 和樹 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00188989)
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研究分担者 |
嶋田 豊司 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20303802)
金森 主祥 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60452265)
亀井 稔之 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70534452)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヒドリドシリカ / 階層的多孔構造 / 還元反応 / ナノ粒子 / 触媒 / 粒径分布 |
研究実績の概要 |
トリアルコキシシランの加水分解・重縮合反応をに基づく、相分離を伴うゾル-ゲル反応により、液体の流通が可能なマクロ孔と、高比表面積を与えるメソ孔を併せもつ、階層的多孔構造ヒドリドシリカモノリスを、様々なマクロ孔径および気孔率で作製した。ヒドリドシリカモノリスの細孔表面に多数存在するヒドロシリル基を利用して、アルコール類による高効率な表面修飾が可能であることを見出した。またこの際に使用する触媒を精査した結果、ホウ素系の脱水素触媒を用いれば、水酸基とヒドロシリル基がそれぞれ表面修飾分子および担体のどちらに存在する場合にも高効率な反応が進行することを確認した。 上記の発見に伴い、細孔表面にヒドロシリル基を有する多孔体の作製手法を、以下の2種類の方法への拡張した。(1)塩基性条件に弱くメソ孔径が小さいヒドリドシリカ材料の欠点を補うため、シリカを始めとする制御されたメソ孔をもつ担体多孔体への、ポリメチルヒドロシラン(PMHS)修飾を確立した。PMHSの一部のヒドロシリル基が基質とM-O-Si結合を形成し、残存するヒドロシリル基が機能性官能基を結合させる足場となる。(2)機能性官能基を含むジシラン化合物を用いて、M-O-Si結合を形成することにより、個々のSiがヒドロシリル基をもつように表面修飾を行い、残存ヒドロシリル基による還元を利用して金属微粒子を析出させた。 これらの金属/合金微粒子を担持した階層的多孔構造触媒を用いて、溝呂木-ヘック反応を始めとするクロスカップリングや、不飽和炭化水素化合物への水素添加反応が、効率よく進行することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初触媒担体への応用を目論んでいたヒドリドシリカモノリスのみならず、高分子試薬であるポリメチルヒドロシランや、ジシラン類による表面修飾によっても、階層的多孔構造をもつ担体上へ反応性のヒドロシリル基を導入できることが明らかになり、触媒担体としての自由度と応用可能性が飛躍的に広がった。金属微粒子の析出制御法が進展し、高い触媒機能の期待されるシングルナノ金属微粒子を容易に得られるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
金属微粒子を担持した触媒材料のライブラリーを生かして、有用な反応の探索を引続き行う。また、ジシラン類によって導入される、酸・塩基触媒サイトと、金属微粒子とによる、複合的触媒反応の詳細な調査と、適用できる反応の範囲の拡大を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
触媒反応評価実験の一部の機器不調のため、作製した材料の触媒機能評価が研究補助者の計画も含めて一部次年度にずれ込んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究補助者謝金を含めて、最終年度での評価実験を加速し、計画通りの研究遂行を予定している。
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