研究課題
OLEDの発光材料の中で電荷（ホールとエレクトロン）の再結合から励起子が生成する効率の面でメリットのあるりん光型発光材料は有用であり，基礎・応用の観点から活発に研究されている。中でも配位子の変更で発光色が容易に調整可能なイリジウム錯体は希少性の高いイリジウムを使用しても利用価値が高い。イリジウム錯体はフルカラーのデバイス用発光材料のみならず，センサーやバイオイメージング材料としても注目されている。そこで実用化を図るためクリアすべき課題に対して材料科学的視点に立って研究し，課題解決を目指した。課題と成果：1.錯体に特有の発光過程と競争する幾何異性化反応(mer-fac）を含む無輻射失活過程の学理を解明し，発光効率や耐久性を増大する。→幾何異性化の起こる青から緑に発光する錯体では異性化反応が無輻射失活の一因となっている。一方赤色に発光する錯体は異性化は起こらず，mer体も発光材料として利用可能であるものが多い。発光状態のエネルギーの高い青色錯体は異性化するものが多いが，カルベン錯体の様に強い配位子場を形成する錯体は異性化しない事もある。mer→fac幾何異性化反応の過程では光学異性体であるΔ-Λ体間で立体選択的に異性化が起こることを見出した。2.デバイス内のドーパント－ホスト間で起こる酸化還元過程を理解し，安定性を高める。→美しい青色りん光を発するカルベン錯体ではホスト分子の選択がドーパントの耐久性に大きく影響を与えることを明らかにした。3.デバイス化を支える分子配向技術を確立する。→配位子にトリフルオロメチル（TFM)基を有する錯体はTFM基同士が重なることにより分子配向を誘起できた。4.センサー，イメージング材料など機能化を図る。→配位子にアミド基を連結することで塩基の存在下で発光色が変わるセンサーの役割を付与させ，またオキシムエステル基を連結する事で重合開始剤の機能を付与した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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