研究課題
本研究では、物質の電子状態を制御する手法として、イオン液体などの電解質の電気二重層の作り出す超強電界を利用し、材料へ高密度電荷注入を行うことで、新機能の発現と、その背景に眠るサイエンスの理解と応用展開を目指すことを目標に研究を進めている。今年度は、イオン液体に電圧を印加した際に形成される電気二重層状態を固定化する電気二重層エレクトレットを利用した新規デバイスの研究に取り組んだ。電解質を電極で挟み、電圧を印加すると電極近傍にイオンが集まった電気二重層と呼ばれる状態が形成される。電気二重層が形成された後に、イオンとポリマー材料を化学的に結合させることで、電圧を印加しなくても電気二重層状態を維持できる電気二重層エレクトレット(永久電荷)を作製することに成功した。電解質としては、有機塩であるイオン液体を利用した。今回の電気二重層エレクトレットの作製には、正イオン、負イオン共に不飽和結合をもつイオン液体を選択した。不飽和結合を持つことで、ポリマー材料と化学的に結合することができる。この電気二重層エレクトレットを利用した振動発電素子の研究に取り組んだ。振動発電素子は、電気二重層エレクトレットを電極で挟み、その電極の一方を振動発生器につなぎ、電極と電気二重層エレクトレットを接触及び剥離することで発電を行う。電気二重層エレクトレットの振動発電のメカニズムとしては、電気二重層エレクトレットに電極を接触させると、電気二重層の電荷を打ち消す用に反対の符号の電荷が注入され、また電極が離れる際には、その電荷が放出されると予想される。実際に、1Hzの振動を印加して、電流を測定した結果、電極が電気二重層エレクトレットに触れた瞬間と離れた瞬間に、正負に大きな電流が発生した。出力電流は、1cm2の接触面積あたり最大で20 μW/cm2程度が得られた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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