研究実績の概要 |
本研究では, FRTPが連続繊維強化熱硬化性プラスチック(FRP)と比べて力学特性が低い欠点を克服するために, 高繊維含有率を持つFRTPの開発を試みた. 強化繊維と樹脂との接着性は繊維強化プラスチックとして, その力学特性に大きく影響している要素の一つである. また少量樹脂でも均一に接着できるのは, 繊維含有率の向上に繋がる. 今までのFRPに使用された高強度繊維のカーボン繊維とガラス繊維は, 主に熱硬化性樹脂との接着性を考慮して表面を処理しているため, 熱可塑性樹脂との接着性を懸念している. またPPやPETやナイロンなど熱可塑樹脂の官能基が異なり, それにあわせた強化繊維の表面処理法の確立が必要である. そこで, アセチルアセトンを配位させたチタンアルコキシドを原材料に用いたチタニア溶液をカーボン繊維の表面処理剤として提案し, カーボン繊維を表面処理して, 繊維とPET樹脂の接着性を定量と定性的に評価し, 今までの方法よりその界面せん断強度が45%向上した. また向上する余地が、これから改善していくつもりである. 航空機胴体などで重要な微粒子衝突摩耗のエロージョン特性について, 本研究室ではFRP構造材のメカニズムを解明し, 高比強度かつエロージョンも強い多機能FRPを開発した. 熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂より靱性が高く, 耐エロージョン特性がCFRPより優れると予測している. そこで開発したFRTP成形法を利用し,カーボン繊維を使用したCFRTPを作成し, FRPエロージョン試験機を利用して粒子衝突による摩耗を測定し, その耐エロージョン特性を評価する. CFRTPは織物のシートを積層し成形したもので, 粒子衝突方向が経糸となす角度によるエロージョン特性, 繊維含有率や樹脂種類や粒子材質・大きさなどの影響を調査し, その向上のメカニズムを解明した.
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