研究課題
昨年度までは,DCT観察用試料台より取り外して疲労試験を行っていたが,本年度は,試料台に載せることのできる軽量かつコンパクトな疲労試験装置を開発した.その結果,測定時間を大幅に短縮できるとともに,試料の着脱による影響を取り除くことができ,DCT測定の大幅な精度の向上を実現できた.試験材料としては,オーステナイト系ステンレス鋼およびマグネシウム合金を用いた.まず,ステンレス鋼では高サイクル疲労における全ミスオリエンテーションの変化を観察することで,詳細な疲労損傷評価を実施した.高サイクル疲労における個々の結晶粒ごとの全ミスオリエンテーションの変化を調べた結果,同一の回折面において,Schmid 因子が大きいほど全ミスオリエンテーションの増加量が大きく,また,疲労き裂発生箇所近傍の結晶粒において他の結晶粒よりも大きく増加していることが明らかになった.また,その場測定により測定回数が大幅に増加したことで,全ミスオリエンテーションの変化をより詳細に観察することが可能となり,負荷の繰り返しに伴う全ミスオリエンテーションの減少も疲労過程における重要な変化挙動であることが明らかになった.次いで,マグネシウム合金の繰り返し変形におけるミスオリエンテーションの変化を調べた.その結果,ステンレス鋼とは異なり,マグネシウム合金では,圧縮応力の増加に伴ってミスオリエンテーションが減少し,また,圧縮応力の除荷に伴ってミスオリエンテーションが増加することが明らかになった.このことは,圧縮応力下では双晶変形が生じやすく,除荷することによって双晶が可逆的に元に戻ることを示しているものと考えられた.疲労においても,双晶がき裂発生の起点となっているとの報告があるが,まだ,十分な証拠はない.本手法は,マグネシウム合金におけるき裂発生メカニズムの解明に有力であるものと考えられる.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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