研究課題
CNF(Cellulose Nano Fiber)が商業レベルで製造されつつある。パルプから製造されるCNFではその形状・寸法が多種多様である。我々は機械パルプを精密摩砕してCNFを製造した。そのため、CNFは蜘蛛の巣状形態を示す。化学処理との併用でCNF束レベルで素繊化できるが、得られるCNFの繊維長が分布する。一方、先の研究成果から、CF-PMCの耐久性に関し、CNFをはじめとするナノ繊維は炭素繊維に直接(あるいはごく近傍に)付着していた場合、き裂損傷抑制の効果の無いことが分かった。そこで、母材樹脂の物理的変性に対する繊維長効果を調べた。CNF(束)長が500nm程度であれば、CNFは遺物/初期欠陥となり、繰り返し荷重下におけるCF-PMCの疲労寿命はむしろ低下する可能性がある。1,000nm以上であれば、耐久性の向上が期待できる。これは、炭素単繊維間の距離よりも長いことによることが示唆された。短炭素繊維強化ビニルエステ樹脂(VE)複合材料対するナノ・サブミクロンガラス繊維(sN-GF)添加効果は、ホットプレス成形のように高速硬化時には効果が認められなくなる。これは、硬化時の母材VEの収縮によるCF-PMC内部の初期応力によると考えられる。そのため、SMC成形では、sN-GFに加え、収縮による内部応力緩和対策が必要である。熱可塑エポキシ樹脂(TP-EP)を用いたCF-PMCでは、引張りや曲げ強度をはじめとする静的機械特性は、熱硬化エポキシ樹脂(TS-EP)を用いたCF-PMCと比肩できるが、疲労寿命は劣る。そこで、sN-GF を用いてTP-EPを物理変性した。しかし、いずれの分子量でもその耐久性に及ぼすsN-GF添加の効果は小さく、S-N曲線の傾きも小さくならない。これは、TS-EPのじん性がもともと高いことに起因すると考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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