研究課題/領域番号 |
26289017
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森田 瑞穂 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50157905)
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研究分担者 |
川合 健太郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90514464)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 半導体表面 / フッ素化剤 / 三次元形状 / 光エッチング / ナノマイクロ加工 |
研究実績の概要 |
プロジェクター縮小光学系を用いて、シリコンウェハのN-フルオロピリジニウム塩による光エッチングを行い、球面凸型シリコン基板を製作し、シリコンの凸型球面加工が可能であることを明らかにした。凸型球面加工光照射強度分布パターンを表計算ソフトウェアを用いて数値化し、プログラムを用いてグレースケール表現画像を作成した。シリコン(100)ウェハを紫外線オゾン洗浄、希フッ酸洗浄し、シリコン表面にN-フルオロピリジニウム塩を液状で塗布し、プロジェクター縮小光学系を用いて光強度分布パターン画像を投影した。シリコンの光エッチング後、アセトン中超音波洗浄によりN-フルオロピリジニウム塩を除去した。 球面凸型シリコン表面の三次元形状を走査型白色干渉計を用いて測定し、表面の形状精度を明らかにした。形状精度の最高最低差(Peak to Valley)値、二乗平均平方根(Root Mean Square)値は、球面と球面頂点を通る断面との交線の曲率半径に依存しないことを見いだした。光エッチング前後のシリコン表面マイクロラフネスを走査型原子間力顕微鏡を用いて測定し、光エッチングにより表面マイクロラフネスが増大しない条件を明らかにした。光エッチング後のシリコン表面形状を走査型電子顕微鏡を用いて測定し、表面形状の光照射強度依存性を明らかにし、光エッチングに適した光照射強度を確認した。 N-フルオロピリジニウム塩の核磁気共鳴測定により、構造が異なるN-フルオロピリジニウム塩のフッ素化力の強弱を明らかにした。フッ素化力が強いとシリコンの光エッチング速度が速いことを明らかにし、光エッチングに適したN-フルオロピリジニウム塩を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
半球面凸型半導体基板の製作については、プロジェクター縮小光学系を用いて光強度分布パターンを投影し、シリコンのN-フルオロピリジニウム塩による光エッチングを行い、球面凸型基板を製作し、シリコンの凸型球面加工が可能であることを明らかにした。半球面凸型半導体表面の分析においては、走査型白色干渉計を用いて球面凸型シリコン表面の三次元形状を測定し、表面の形状精度を明らかにした。光エッチング前後のシリコン表面マイクロラフネスの変化を走査型原子間力顕微鏡を用いて測定した。光エッチング現象の解析においては、フッ素化剤であるN-フルオロピリジニウム塩の核磁気共鳴測定により、N-フルオロピリジニウム塩のフッ素化力を明らかにし、フッ素化力とシリコンの光エッチング速度との相関を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
研究を研究計画通りに遂行する。光導波路半導体の曲面加工を推進する。特に、シリコン・オン・インシュレータウェハのリソグラフィ、シリコン層のエッチングを行い、直方体形状のシリコン光導波路を形成し、プロジェクター縮小光学系を用いて直方体端の光エッチングを行い、曲面形状、また平面状の斜め側面形状を形成する。また、半導体光導波路の分析・解析を行う。特に、シリコン・オン・クォーツウェハを用いて、シリコン光導波路を製作し、一方の端から波長1.55μmのレーザー光を導入し、他方の端からの出射光強度を測定し、伝搬損失を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画調書に、今年度の設備備品費としてドラフトチャンバーの費用を記載した。研究の進行状況に応じて、光エッチング用の無機薬品を処理するために、今年度は複数の科研費により購入した共用設備である無機薬品用ドラフトチャンバーの費用に研究費を使用した。費用の負担額割合が50%であるため、主に価格と負担額の差に相当する次年度使用予定の研究費が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
光エッチング用の有機薬品を処理するために、有機薬品用ドラフトチャンバーの費用に使用できる。
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備考 |
http://www-pm.prec.eng.osaka-u.ac.jp
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