研究課題/領域番号 |
26289023
|
研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
青柳 学 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80231786)
|
研究分担者 |
梶原 秀一 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00280313)
田村 英樹 東北工業大学, 工学部, 准教授 (90396581)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 球状ステータ / 多自由度 / 脱力モード / 球面アクチュエータ / トルクフリー / 周期入力制御 |
研究実績の概要 |
本年度は2つの球面超音波アクチュエータ(MDOF-USM)の性能の評価・改善と電気的予圧制御について検討した。 1)サンドイッチ型MDOF-USMのトルク/重量比の向上: これまで1Nm程度の非常に大きな最大トルクが得られていたが,駆動電源の供給電流不足のため発生トルクが制限されたため,トルク-重量比は従来と同程度であった。駆動電源の供給電流容量を増加させたところ,発生トルクが20%程度増加し,トルク/重量比を改善することに成功した。したがって,力率を改善した駆動回路により,最大トルクの向上が可能であり,試作・検討を進めている。 2)球状ステータを用いた球面超音波アクチュエータの検討: 球状ステータ振動子上に設けた各駆動用突起(駆動点)の振動変位軌跡を有限要素法(FEM)を用いて解析した。突起の長さによって変位軌跡が変化し,所望の変位軌跡が得られる長さの特定を行った。また,振動軌跡を計測および解析で把握し,3軸回転に対する各駆動点の寄与度を電気機械等価回路上で評価した結果,寄与度はそれぞれ異なるが全てプラスに寄与することを確認した。トルク・重量比に有利な球殻のバルク振動モードを利用した球状ステータを検討した。球殻の真球度低下による振動モードの影響をFEM解析した結果,大きな振動モードの変化はないことを明らかにした。 3)圧電クラッチを備えたサンドイッチ型球面超音波アクチュエータの製作 サーボモータに連結されたSUS製球体を2つのPPS樹脂製リング状プレートと圧電クラッチにより挟み込み,それぞれMDOF-USMの球状ステータおよびロータを模したモデルを製作した。設計した圧電クラッチの上下部にロータを固定し,圧電クラッチの印加電圧の変化に伴い,球状ステータとの摩擦トルクが低減でき,球面超音波アクチュエータにおいてもトルクフリー状態が実現できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
球面超音波アクチュエータ(MDOF-USM)を模した試作モデルにおいて,完全脱力モードを実現するのに必要な圧電クラッチの設計および摩擦トルクの制御に成功しているが,周期入力制御の応用が遅れている。また,球状ステータを用いたアウターロータ型球面アクチュエータにおいてはアクチュエータとしての評価が不十分であり,圧電クラッチの装着のための設計ができていない。また,性能評価が進んでいるサンドイッチ型MDSOF-USM用圧電クラッチの製作が遅れている。 以上のことから「やや遅れている。」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
サンドイッチ型球面超音波アクチュエータ(MDOF-USM)について,駆動電流を低減する駆動回路を製作し,高トルク状態でのトルク制御を行う。また,圧電クラッチをサンドイッチ型MDOF-USMに実装し,完全脱力モードについて検討し,周期入力制御の適用実験を行う。また,モータに連結させた球体を2つのリング状ロータと圧電クラッチにより挟み込み,球面アクチュエータを模擬したモデルで脱力モードの周期入力制御への応用の検討を引き続き並行して行う。 球状ステータ(中実球)を用いた球面アクチュエータはロータを実装し,負荷特性を評価する。球殻ステータの製作を進め,球状ステータとの性能比較を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗状況としてやや遅れているため,研究成果発表の機会が遅れたことにより,学会出張旅費が少なかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度予算で研究成果発表のための参加費,旅費および物品費として使用する。
|