研究実績の概要 |
回転系振動格子乱流について,近年構築した大型実験装置を用いた実験,および回転系ナビエ・ストークス方程式による直接数値計算(DNS),を実施した. 回転系振動格子乱流の実験は,近年構築した大型実験装置を用い,回転系からx-z断面(回転軸を含む断面)でのPIV計測を実施し乱流統計量を算出した.PIV計測には本年度の研究費で購入した高速度カメラを用いた.回転タンク内の振動格子乱流の実験では乱流生成格子の振動に伴う二次流れが問題となるが,メッシュ幅M = 30 mmでは二次流の影響がみられるものの,M = 50 mmではその影響がほとんど見られずより理想的な実験となる事を確認した.さらに,メッシュサイズM=50 mmで,格子振動ストロークS = 40mm, 格子振動周波数 fg = 2.0 Hz, タンク回転数 Ω = 0, 15 rpm の条件で実験を実施し,流れ構造,乱流強度,乱流エネルギー収支,等に対する回転の効果を調べた.これらの結果については日本機械学会東海支部第64期総会・講演会で講演発表を行っている. 回転系振動格子乱流のDNSは,ALEタイプの移動変形格子に拡張された自乗量保存形の差分スキームを使用し,乱流生成格子を差分格子で正確に表現し実施した.計算領域は水平方向(回転と直交する方向)に4M × 4M、回転軸方向に20Mとし,水平方向に周期境界条件,回転軸方向の上下面はすべり無し壁面境界条件とした.乱流生成格子の1片の長さはd = M/5,乱流生成格子の振動ストロークはS = 4M/3とし,レイノルズ数ReM = fgMM/ν=2700,ロスビー数Ro = fg/(2Ω) = 1.43, 0.716, 0.258, 0.239 の4例のDNSを実施した.計算結果を用いて流れ場の可視化を行い,振動格子乱流に対するDNSとしては初めて,慣性波の存在が確認された.また,各種乱流統計量に及ぼす回転の効果についても定量的に示した. これらの結果については,第28回数値流体力学シンポジウムで講演発表を行っている.
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