今年度は最終年度であるため,まず平成27年度までに得られた回転系振動格子乱流の実験データを検討した.その結果,特に静止系において乱流統計量の分布に2次流れの影響が無視できない程度に現れている事が判った.そこで,当初の予定を変更し,まず静止系における2次流れの抑制に注力する事とした.乱流統計量の分布および流れ場の可視化観察から,2次流れは乱流生成格子末端とタンク側壁とのすき間から生じている事が判った.また,溶接により作成された乱流生成格子面にわずかではあるが歪みが生じ,これによる平面性の欠如が2次流れを促進している事が判った.そこでまず,乱流生成格子末端とタンク側壁とのすき間をこれまでの55 mmから5 mm へと減らす事とした.さらに乱流生成格子面の平面性を確保するため,ウオータージェット加工でアルミ材に穴を開けて乱流生成格子を作成した.新たに作成した乱流生成格子で生成された乱流場は,振動格子乱流として理想に近いものとなった事を確認した.また,この格子により回転系振動格子乱流の実験も実施し,回転によるエネルギー減衰の抑制効果も確認する事ができた. 回転系振動格子乱流のDNSは実験と同条件で実施した.これまの実験データには2次流れの影響が現れていたので正確な比較ができなかったが,より理想的な状態の実験データと比較する事により,格子解像度を上げるとDNSデータが実験データに近づく事が確認された.しかし,現在使用している格子解像度では小スケール乱流構造を解像するには不十分である事も判った.そこで,非圧縮性流体解析の律速である圧力のポアソン方程式の解法を検討し,この流れ場に対しては内部反復解法にBiCGStab法を用いる多重格子法が有効である事がわかった.また,このDNSによる乱流構造の考察,回転の効果について,日本機械学会東海支部第66期総会講演会において,講演発表を行っている.
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