Pt-WO3薄膜の作成ならびに水素暴露時の変色シグナル強度の再現性の再確認を行うと共に,試験チャンバ内部の温度を制御することで,ガスクロミック反応の温度依存性について検討した.膜厚によって呈色感度の違いはあるものの,30Kの温度変化にも関わらず呈色反応強度および反応感度は著しく増加することがわかった.高温時のガスクロミック応答は(呈色反応を阻止する働きを示す)周囲酸素濃度が低い状況と酷似しており,温度依存性は狭い温度変化領域においては線形関数で近似できることが予想される.この関係から,ガスクロミック反応過程の素過程の支配因子を調べることができる. 当初試験より薄膜を施したを垂直に配置して100%の水素ガスを与えるような装置システムにしているが,このままだとチャンバ内の空間制限により室内に与えたヒータが効率的に薄膜の温度上昇に使えない.そこで現在はチャンバ内部の構造を再編し,下から上へ水素とヒータ加熱を与えることでより高温を適切な時間与えることができる系に改良し,本検討の継続を進める予定である.
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