研究実績の概要 |
管内伝播火炎の不安定振動現象のトリガーとなる機構の研究を行い以下のような成果を得た。 不安定ダイアグラムの安定限界条件におよぼす各実験変数(混合気組成・燃焼速度・伝播管アスペクト比等)の影響を検討した。前年度まで実施した実験に加え不足していた条件での実験を実施することで、伝播管のアスペクト比(管長/管直径)に対するPrimary InstabilityおよびSecondary Instabilityの発生条件マップ(不安定ダイアグラム)を取得した。この結果伝播火炎の不安定性は、アスペクト比が大きくなるほど増大することが示された。生じている現象を詳細に観察すると、火炎伝播の初期段階で管長に対応する固有の周波数を持つ圧力振動が生じ(Primary instability)、これが徐々に増幅されその圧力振幅が臨界値を超えると火炎面に規則的なセル構造が発生し、これがきっかけとなって極めて急激な圧力増幅(Secondary Instability)が生じることがわかった。 この現象を理解するため、2つの不安定機構(Pressure coupling, Velocity coupling)に基づく数理的な解析を行った結果、Secondary instabilityの発生限界に対しては後者のVelocity couplingの機構により整合性のある説明が可能であることを示した。すなわち、管長が長く固有の振動周波数が小さくなること、および管径が小さく火炎面に形成されるセル構造の寸法が小さくなることは、Velocity couplingの機構においては不安定性の増大につながることを示した。本年度は関連の成果を専門誌(Combustion and Flame)にて公表したほか、関連の成果が2018年8月に行われる国際燃焼学会のOral presentationに2件採択されている。
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